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工房IKUKO 石川昌浩 スタート

ガラスの石川君のIKUKOでの個展がスタートしたので、さっそく、奥さんとのぞく。

今回は、ガラスの表面にエナメルで描きこみをした作品が多数。

これは、表面に小さな傷がついたり、ちょっとした不純物がはいった場合、完成品として出荷しないので(この点、ガラスといわず、陶器と言わず、こちらからすれば「いいじゃん、そのくらい」と思っても、作り手たちはストイックに守る。守らなくてはならない流通のルールがあるのかもしれないが、ほんとに守る)、そうした部位を、このエナメルで隠したのが事の始まりのよう。


ちょうどご本人がいらっしゃったので、「でも、ガラスだから、溶かして、また吹けばいいじゃん?」と言ったら、「そうすると、溶かすための炎の分、二酸化炭素の総排出量が増えるので、エコとかSDGS的にどうかと前から悩んでいたので、思い切ってこうしてみた」と真顔で返事。

おかしな営業トークや言い逃れのできない人なのはよくわかるので、ほんとうに悩んだのだろう。


さらには、「そうなると加飾よね?」とか、「エナメル部分の耐用は?」とか「いいぐらいにエナメル剥げたら 味 になるかも?」とか、ある筋の人が絶対言いそうなトピックスを挙げて、しばし話していたが、当然、本人はそうしたことは全てわかったうえで、「今回はいちど思い切って出してみた」とのことなので、上記のようなひっかかりを持たれた方は、まずは実物をご覧ください、とご案内するのがよいのだろう。


そうした中で、最も悩んでいたのが値段のようだった。

つまり、エナメルで描きこみがないものと、描きこみがあるもので値段を変えるかどうか?

私もその点は、気になったので、同額であるのを確認して、それが賢明と思っていたのだが、私からすると、「手が加わっただけ高くてもよいのではないか?」と思ったのだが、石川君からすると「本来なら出荷しないものを出荷しているのだから、安くないといけないのでは?」とのこと。

その悩みを幾人かの人からも意見も聞いてみたうえで、同額という判断をしたそうだが、±0で同額がまさに賢明だと思う。


こうして、今までと違ったことをひとつするのに、これだけの思慮があることを、改めて気づかされた、おじさん同士の会話でした。


いずれにしても、人気作家。

新しい形もいくつかあるので、ぜひともお出かけのうえ手に取ってみてください。





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