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フルコース・ブックとはまた別の話

フルコース・ブックについての記事を書いたがそれとはまた別の話。

僕は大体の本を読み終わったら手放してしまうのだけど、とっておくものはあって、たとえば海外SFは毎年年末に『SFが読みたい』で原稿を書かないといけないのといろいろ必要なので全部とってあるし、ある種の定番書となりえるような本もとっておく。たとえば、最近出た本だと早川の『遺伝子──親密なる人類史』である。この本は遺伝子について解説した非常に優れた本で、しかもありがたいことに文庫化してくれたので、遺伝子についてよくわからなかったり参照する必要が出てきた時はこれを開くべきだろう。

意味論、記号論としてはS.I.ハヤカワの『思考と行動における言語』をずっととってあるし、ロボット法に関してはウゴ・パガロの『ロボット法』。コンピュータの創世記に関しては『チューリングの大聖堂』──とまあいろいろである。このチューリングの大聖堂がほんとおもしろいんだマジで。

こんなかんじで定番書たりえるものはとってあるんだけど、参照する機会がそんなに多いわけではない。じゃあなんでとってあるのかといえば、単純にこういう寄り優られた「ある分野の定番書といえる本」だけが並んでいる本棚は壮観だろうなあ、という単純に本棚構築の美学の観点からである。

すべての本をとっておいて壮麗に並べたいという欲求はあるが居住問題ゆえに現実的に不可能なわけで、であるならば自分のチョイスで自分にとって、最高の本だけが揃った、自分だけのスタイルを持ったコンパクトで壮麗な本棚を作り上げたい。圧倒されるような巨大な本棚もいいが、そうしたコンパクトな本棚もまたいいものだろう。そう思うのである。


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