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ランチのアッコちゃん【読書感想】柚木麻子

柚木麻子さん著作を再読中。
この本は柚木さんの人気シリーズ「アッコちゃん」3部作の最初の本。
この他に3時のアッコちゃん、幹事のアッコちゃんがある。
読むと元気になれる本とのことです。売り場ではそんなポップを付けて置いてあったんだろうなー。よくね。特に都会の大きい本屋さんなどで。

「読んだら元気になれる」のコンセンプトなので簡単に読み切れる短編形式で嫌な奴があんまり出てこないです。
くせのない食材を歯切れよくサンドして気安くつまんで食べれるサンドイッチやカナッペみたいなイメージですよ。
本を読もうと思うんだけどあんまり普段読まないからどんなのがいいかな?と聞かれたら進めやすい本って位置。

あらすじも簡単で、優柔不断でお馬鹿さんな愛されキャラの澤田美智子がちょっとしたもやもやを抱えていると、どこからともなく美智子の上司でスーパー姉御のアッコちゃんこと黒川敦子が颯爽とあらわれ、ぶっきらぼうながらも愛情深く行動を示して美智子の視野や意識を開かせて本人が解決できる道を教えてくれる的な話です。
自分が知っている漫画で言うとコナリミサト著の漫画「コーヒーいかがでしょう」のテンプレートに似ていると思います。

黒川女史の身長173㎝、ガッチリ肩幅の黒髪艶々オカッパから某女性歌手を彷彿させるということでそんな愛称になってます。

全4編のうち話の構成としては、二人が中心の話が2編。
他2編は美智子とアッコちゃんが出てくるのはほんとにちょびっとで、基本的には違う主人公たちの話が展開します。
わざと問題点が分かりやすいように主人公たちが「あれ?大人の社会人としては知能が低くない?」みたいな変なキャラクターになったりする時がありますが、コメディーだしカナッペ的なおつまみしながら食べるのにちょうど良くて、読んだ後元気になれる本なので気にする必要はないのです。
あと多少のご都合主義(いろんな問題点を無視しての現実離れした良い方になっていく展開)もコメディーだしカナッペ的な でもう、無視です。
地球上での物理の問題なのに「なお空気による摩擦は考えないものとする」的な注釈と同じです。
仮に「空気による摩擦を考え実際の状況に沿った解答を出すように」とか「現実的なハードルを考えたうえでこの話は彼女が調理師免許及び衛生管理者の資格を取り、道路交通法を順守するため5年ほどの年月を要しました」とかなったら面倒じゃないですか!!

と言いますか

悩みは本人が思っているほど深刻なことはほぼ無い。と言われますが
そんな感じなのかもなーって思います。
要は「気づく」ってとてもすごいことなんじゃない。
意識が発見するってことで、すぐ近くにあった。けど見えていなかった。
それを意識して見ることができた。

目に入っていても脳が認識しないでいたことを、意識した。って。

この本はそういう事を教えたいんじゃないのかなって。
導き役は気づかせるために直接言うんじゃなくて、行動をさせたり勝手に動いたりして巻き込まれる方の目が開くようにしている、と考えると
一貫した話になっています。

忙しい日々になると一個一個の出来事や手に取っている物の価値を碌に考えないまま消費するだけの行動になりますが
その日々も少し角度を変えたり、手に持った物の質感や重さを感じたりすることで新しい発見に出会えるよ。それが自分を豊かにしてくれるよ。って
見えない妖精さんがささやくような感じです。

ふう。いい感じにまとめた。

で それはそれで良いとして

柚木さんの本て少し前から、いやもうBUTTERからしてそうなんだけど
この本で決定的に認識が固まった。

女同士の関係描写がすっごく濃くない?
夫婦や恋人が出てくるし上司部下の関係性も男女の組み合わせが登場するんだけど男女の関係描写はあっさりしているんだ。
性的な接触、感情の接触含め。

が が 女同士の描写になるとめっちゃ濃厚だわ。
もう普通にこれ恋人同士の愛情表現なのでは?と思う部分がちらほら。

性的接触は無い。けどね。
感情的接触は癒着なのでは?ぐらいにネチャネチャしてるー。
はい。今後はここを意識して読むことにします。

で 自分の方でも新しい扉が開きそう。
てか開きたくなっている自分が生まれてしまった。
女同士の感情の接触及び癒着ーそんなドラマをー描きたいぃい。
もともと創作活動をしたいと思ってnoteを始めたんだけど
何をテーマにしたらいいのかは掴めてなかったからインプットから始めようって読書とかしてたけど。

いい感じに種をもらった気がする。

よーし。お次は「幹事のアッコちゃん」読むぜー!

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