ソープ嬢(短歌集)

ソープ嬢 幾通りの名前で呼ばれ自分見失ったまま

幾万の後悔があるのだまだ何も解決されてないのだ

午後11時?東京ならまだ昼 名古屋なら鬼眠る刻

タピオカは蛙の卵に似てるらしい 飲めばいいのに飲み干しゃいいのに

観賞用としての命をおもう フォトジェニックの中で死んでゆけ

ぷつりと取れるマントのような蝶の翅(つばさ)の感覚 にぎりつぶせばよかった?

図書室の忘れ去られた棚の中 大イタチ達の冒険始まる

メスカマキリに食われていく飛蝗の卵 魚卵殺す時にも似ていて(ぷちぷちしてるのね)

J-POPの歌詞に本気で怒れる人 正しいよとても

悲しみの象徴としてのスコティッシュフォールド 折れ耳ははかなくてかなしいね

右手マニキュア ティッシュ インスタントのポルノ 軽やかに草原往くギャロップ

精液の喉ごしざらつき男ども マウスと何が違うのだろう

児が母の胎(はら)蹴るデパート化粧品売り場 母はいとおしげに腹撫でぬ

12月ワトソン・クリックの発見覚えて クロスになったところが「女」みたいね

エコーで子宮が見える世の中です。男でも女でもどうでもよくしよう。

少女がなめる飴の味 桃のにおいを香らせながら 

xもyも投げ捨てて玉砕に向かう私たち遺伝子の目的って何?

桃パフェを食べながらする談義 わたしパフェの中身潰してた

男たち女軽蔑するらしいのは ぷちぷちしたもの好むから

雑踏をうめるために日傘はある 射光がコンクリート溶かす夏

幼虫たる我は蛹になりて春を待ちぬ 世界の終わりという春を

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