見出し画像

【創作】相方さんの書いた小説を紹介したい

以下の記事は以前upしてるので読み飛ばしてもらって大丈夫。
とにかく今日は相方さんの記事を紹介したい。

夏の某日、大阪で落ち合いテーマを決めた。
そして書き上がったのがふたつの小説である。

テーマは

  • コミケ

  • スマホ

  • ビックリマンチョコ

さらにコミケにおいて私は買い手側を、相方さんは売り子側を書くという面白いことができた。

いかに相方さんの小説が面白いかはスキの数を見て貰えば一目瞭然だろう。

ゆえに宣伝させて欲しいのだ。
読んで欲しいのだ。

ひとりでも多くの人の目に止まることを願いつつ。


楓莉–フウリ-


オヤジとお菓子とそのオマケ


今日は戦いの日だ。

とは言っても何かの大会やコンクールがあるわけではない。
このイベントは、とても内気かつ一部の熱狂的なファンが支えている。

そのイベントの名前はコミックマーケット
通称“コミケ”である。

ボク、一ノ瀬翔太(イチノセ ショウタ)には推しのイラストレーターがいる。
それこそ、学校帰りの年齢になるよりももっと前。

気付いた頃からボクの食べるお菓子の代名詞となっているビックリマンチョコのシールの絵を描いている人だ。

シールを描いている人も複数いて、その中でもSSRなどの特別な絵を専門にしているイラストレーターさんがいちばんのお気に入りで、その人のシールだけをコレクションしたファイルはすでに5冊を越えている。

そんなボクがこのイベントを知るきっかけになったのが、幼馴染の洋介だ。

うちは親がうるさくて持たせてもらえなかったスマホも中学デビューと共にようやく手に入れた。

そうして触れるネットの世界。
そこで初めて知ったXという謎のアプリ。
だって明らかに名前からしておかしい。

以前はTwitterと呼ばれていたらしいが、それがどうなってXになったのか。
その当時はやはりトレンドとして賑わったと洋介が教えてくれた。

Xでは必要な人をフォローしておき通知設定をすると書いた内容が届くという優れものだ。

なのでフォローしても通知する人は慎重に選ばなくてはいけない。

そうして色々と画面を操作しているとオススメという人も出てくる。

これはどうやらAmazonの仕様と同じで似たようなことを呟いてる人が出てきたりバズってる人が出てくるらしい。

その中のひとり。

流れていく内容を読んでいくうちに、気付けばある人のこともフォローしていた。
小学校の頃から道徳の授業でネットで自分のことを話してはいけないと言われていた。

それでも呟いた内容に対してコメントが来ても必要最低限の会話しか成り立たなかったがそれでもお互いに持っているシールを写真に撮って見せ合ってそのシールが出てきた頃の話で盛り上がった。

ちなみにこのXというアプリの中で使われる専門用語を教えてくれたのは、やっぱり幼馴染の洋介だった。

自分の発言のことはツイート、相手に対するコメントはリプということ、さらにそれへの返事はリプ返、リツイートは拡散する意味で、引用は元のツイートに対して自分の意見を言う必要がある場合に使うのだとか。

小学生の頃から洋介は塾に通っていたので親からスマホを持たせてもらっている。

ボクから見ればこの幼馴染は何でも先を歩いている尊敬できる友人であり、大体のことはあっけらかんと片付けてしまうスペシャリストだ。
そんな尊敬する洋介の説明を聞いていると親が中学生までスマホを持たせなかった理由が分かる。

写真を撮れば堂々と学校名が載っていたり、写真以外にも何かしようとするたびにどこか抜けているボクの性格を見抜いて、この時期まで持たせなかったんだ。

我が親ながらさすがボクのことをよく知ってるなと感心する。

と、同時に果たして僕は親のことをどれくらい知ってるのだろう。

中学に入学してから、毎日のようにスマホを使っていくうちに操作にも慣れてきてクラスメートの何人かからもLINEの交換をしようと誘ってくれた。


ダブダブの新品さの目立つ制服がようやく身体に馴染み始めた頃にやってくるビッグイベント。

季節はまさに夏が到来していた。
「コミケ?って、なに?」

単に収集癖のあるだけの僕の世界をまたこうして広げてくれたのは洋介だった。
コミケのことを紹介されたのは夏休みに入る直前だった。

「翔太、コミケ一緒に行かね?」

彼は名前こそクラスの中のトップに君臨していそうだが、実際のところはクラスのカーストでも中の上。

だからこうして僕とも話してくれている。

不意に洋介がトップカーストに入れたら、と想像してみる。
違和感はない。

何せ洋介は周りを見て、いつだって仲介役ができて「折れる」ことができる。
でも本当に洋介のすごいところはお互いの意見のいいとこ取りをしてさらに意見を発展させることだ。

さらに彼は表立って目立つようなこともしない。

これがボクが彼をスペシャリストと呼ぶ理由。

彼曰く、
「やるなら楽しく皆で公平に」
だそうだ。

人生何周したらそんな考えになるのか分からない。

洋介と一緒にいると楽しい反面、自分の至らなさや幼稚さを突きつけられてるような気分になって時々無性にイライラする。

そしてそんな自分にさらに嫌気が増してどうにもならない悪循環に陥っていると言う始末。

初めての中間テストも終わり、夏休みに向けて短縮授業の合間の休憩時間。

遠くの席から洋介が来て僕の前の席の椅子を跨ぐようにして向き合って座った。

コミックマーケット。
大規模な二次同人イベントというものが、歌で有名なサマフェス同様に同じタイミングで開かれると言うのだ。

果たして二次創作やら同人というものがどう言ったものかは濁されてしまったが、今回のそのコミケとやらに例のイラストレーターさんが売り手として出ることが分かった。
確かに流れてくるツイートの中にコミケ出ます、って書いてたのを見てはいたけどそれが何なのか分からずにスルーしていた。

それがまさか、今回は本人が参加されることとなってビックリマンシールを集めている人たちは大騒ぎになっているらしい。
いつもなら親の承諾を得てから返事をするところだが、今回ばかりは事後承諾でも許してもらおう。

うちの親は洋介への信頼も厚く、彼と一緒とあらばある程度のことは許された。

そうして小学校の頃から続くどちらかの家での勉強も何とか全てコミケまでには終わらせ、あとは洋介の説明をワクワクしながら当日を待つのみだった。

彼曰くその日は戦いの日になって、翌日以降はその余韻に浸るから宿題なんてしてる暇ないぞ、特に初めて行く時は興奮してその夜眠れなくなったりするからな。

なんて脅しのような冗談を言われてしまったので宿題をやり遂げた。

夏休みの宿題をここまで早く終わらせたことのなかったボクにとってこれはひとつの自信になった。

そして迎えた当日の朝。

何をどうするのか分からないが、洋介は普段と変わらない様子の服装だった。
外に出ただけでドッと噴き出す汗に夏を感じながら、徒歩5分の場所にある地下鉄の駅まで歩いて行く。

たどり着いた頃には来ていたシャツはじっとりとしており、早速汗拭きシートで身体を拭いて少しでも気持ち悪さを拭っていく。

横を見れば洋介も同じようにシートで身体を拭いている最中だった。
汗も引いて、地下のまだ熱されていない空気にようやく汗が引いていく。

お互いにどことなく緊張しているのか、玄関で顔を合わせた時に挨拶してから暑さも相まって交わす言葉も少なかった。

そうしてふたりの合間の重苦しい空気を消し去るようにやってきた鉄の塊は目を光らせてホームに滑り込んできた。
まだ蒸し暑さを抱える前の電車がホームに滑り込む。

電車が到着する時の風もまだまだ澄んでいて、地下鉄なのに夏の匂いを感じる。

始発の電車。

絶対に乗ることのない時間帯かつ遠足でもない。

これは戦いだ。

洋介曰く、今回は持って行ったスケッチブックに絵を描くということをしてくれるらしいがそれもイラストレーターさんの疲れ具合や当日の人数によるという。
つまり行ったところで描いてもらえない可能性だってある。

けれど今まで一度も行ったことのないイベントに、こうして洋介が誘ってくれたのは素直に嬉しい。

ツイートに、今から参戦することを書くとみんなそれぞれにリプをくれる。

けれどその中にいつも仲良くしてくれている例の人が居ないのが少し気がかりだったが、朝も早いし準備に忙しいのかも知れない。

そう思ってスマホをポケットの中にしまった。
ひとつひとつに返信をしていると、

「暑さで充電の減り早くなるから気を付けろよ」

久しぶりに口を開いた洋介の声には緊張が滲んでいた。

小学校から中学に上がるタイミングで成長期を迎えた洋介との身長差は今は5センチ程度。
これもそのうち差が開くのかと思うと少し寂しい気がする。

慣れた電車。

いつもよりのんびりできる車内で周りを見渡す。

大きなリュックを背負ってる人がチラホラと見えることから、この人たちも今日それぞれの目当てのところに向かう戦士であり同志なのだと思うと胸が高鳴った。

隣にいる洋介は慣れているのか会場の地図と思しき紙に書き込まれたルートで無事に辿り着けるか頭の中で道筋を辿っているようだった。

乗り換えもスムーズに済ませていざ会場に到着すると、始発で出た俺たちでも100人の中に入るかどうかの順番だった。

洋介曰く前日入りしてる人がここまでのほとんどで、それだけの熱がこのイベントにはかけられているのだという。

そう言われると思わず固唾を飲んでリュックを担ぎ直した。

洋介だって行きたいところがあっただろうに、初めて参加するボクのためにイラストレーターさんの列に一緒に並んでくれた。

既にSの字で行列ができており、暑さの中でもわいわいと話しているとイラストレーターさんがサインを書いてるのだろうか。

机に向かって頭を下げているのが見えてきた。
と、同時にどことなく見覚えのあるのが雰囲気から伝わってきた。

順序よく並ぶ列、一定の間隔で進むとようやくイラストレーター本人が見えてきた。

その全容が分かるようになるにつれ、隣に立つ幼馴染もそわそわして落ち着かない。
ようやくあと3人となったところで、思わず

「あっ」

ボクは声を上げた。

それもそのはず。
その席に座っているのは紛れもなく洋介のお父さんだったからだ。
洋介の家庭はお母さんが介護や看護の仕事をしているので学校の行事にはいつもお父さんが参加していた。
だから見てすぐに分かった。

何か声を掛けようと横を見ると気まずそうに視線を彷徨わせている。

洋介は何も悪いことをしていないのに、彼は何も言わずに列からそっと離れてイラストが仕上がるのを待っていた。

イベントが終わるまで、しばらく近くのファミレスで待ってて欲しいと洋介を含め伝言を預かったのでコクリと頷く。
今回書いてもらったのは、勇者のイラスト。

一番人気でオークションでも高値が付くものだ。

そして洋介に伝言の内容を伝えると眉を寄せて少し不機嫌になってしまった。

幼馴染の彼は今回欲しかったものはないらしく、まだ始まって間もない会場を後にして近所にあるファミレスへと足を運ぶ。

その間ずっと無言で何となく言いにくそうな洋介にボクは

「何で黙ってたんだよ」

とか、そんな言葉を掛けられる雰囲気でもなくじっとりと湿り気を帯びたTシャツの気持ち悪さにぐったりしていた。

クーラーのやや効きすぎている店内までは地獄のような道のりだったが、到着して席についてしまえば一気に極楽へと変わった。

お互いに好きなものを食べていいからね、と預かった万札を目にしても、子どものボクらが頼むものといえばドリンクバーとポテト、あとはちょっとしたデザートだけだった。

「………俺の親父が、翔太の好きなイラストレーターだってこと黙っててごめん」

沈黙を破ったのは洋介の方だった。

そして、Xでのやり取りをしていたのも実は洋介の裏垢?と呼ばれるもので、趣味の人と繋がる専用のアカウントだと教えてくれた。

だから道理で朝からツイートもリプもなかったわけだ。
隣でスマホを触ればすぐに通知が届いて洋介からだと分かってしまう。
洋介は誘ったのは軽はずみだったのに、そこから日にちが近づくにつれてずっとそれらが気掛かりで、今日まで平静を装っていたが辛かったのだと胸の内を明かしてくれる。

そうして話しているうちに不意に彼と一緒に歩く帰り道、ぽつりと呟いた言葉を思い出した。

「父さんの絵なんかじゃ売れないんだ。でも、父さんには描くことしかできないからあの人は絶対に売れる。努力が報われるってそう信じてるけど、顔を合わせると素直に言えなくてさ…」


絵が売れないというからボクの中ではキャンバスに向かって絵を描くイメージをしていたが、まさかイラストレーターの方の絵描きだったとは。

ボクは吐き出す言葉を見つけることができず、洋介の話に頷いたり相槌を打つばかり。

どこの家庭でもある親子の確執が洋介にもあることになぜかホッとしていたりもした。
そうして小一時間ばかり待っていた頃、洋介のお父さんがファミレスに姿を現した。

「遅くなってすまないね、後の対応をと片付けをアシスタントさんにお任せ出来たから早めに来れてよかったよ。二人とも、好きなものはもう食べたの?お腹空いてない?」

伝票をみて、食事らしい食事をしていないことを指摘されると急にお腹が空いてるのを感じる。

「な、洋介。メシ食おうぜ」

至っていつも通り洋介を誘うとその横で彼の父は嬉しそうに微笑んでいた。そうしてぎこちなく始まる洋介とお父さんの会話。

今にしてやっと言えるようになった、

「コミケ出展おめでとう」

その言葉に大柄でクマを想像させる洋介のお父さんの目の端には光るものがあった。

食事を終えて2度目のデザートを食べ、満足して帰ったのはきっとイラストが描いてもらえたことでも、洋介の隠し事がスッキリしたからでもない。

少し後ろから見る、父と息子の背中それぞれに戦い切った勇者の誇りがあるからだろう。

そんな親子の様子を見ていて、自分の家はあまりにも平凡すぎるな、と思ったのでファンとしてその二人の間に割って入って家路に向かった。


あとがきのような、私の悶々とした創作の日々。

5000文字という字数。
これはテーマひとつかふたつで多くの人は書く字数。
それを3テーマを一つにぶち込むという無茶苦茶をしている私たち笑。
ふたりとも無茶なんてやってナンボでしょ精神でとても楽しかったです。

あ、やってみたい方おられましたらコメントでお気軽にどうぞ✨

んで、創作について。
最後どーするか決めずに書き始める私。
当然ゴールが決まっていないので書き始めて途中で立ち止まってしまいました。

次回からは終わりからスタートへ向けて書いていこうと決意しました。

今回も3つのテーマを入れてお話を書かせていただきましたが、今回おしまいをお父さんにしたので家庭内でどんなギクシャクがあったとか、洋介と翔太の家の比較とか、それぞれが相手に抱える羨望と嫉妬などの対比も書きたかった。。。

ちなみにその辺は本気で3万字とか書くときに置いておきましょう笑。
楽しみはいくつあっても良いですし。

なんならコレを元に実は全部繋がってましたってオチにするのも楽しいかなとか色々妄想だけは得意です笑。

次回案内

次にこの創作小説をまた別のテーマで上げますが、1ヶ月後の9/16です。
さらに企画も検討しておりますので是非とも楽しみに待っててくださいね✨

できるんなら、のお願いの話。

今わたしと73さんのふたりでやってるんですが、他に参加してみたい方っておられませんか?
大阪市内で直接会ってお話ししましょう💖って強者がいたら是非お待ちしています。

楽しくやっていく仲間を増やしたいので、これからも引き続き楽しんでくだされば幸いです。

この記事が参加している募集

良ければサポートお待ちしております。頂いたサポートはより高品質な創作を行うための費用として大切に使わせていただきます。