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歩きの本質

今回は、歩くことの本質について話しましょう。タイトルは「つぼ」「極意」「真髄」「核心」などいろいろ考えましたが、簡単に「本質」という言葉にしました。

まず、なぜこの投稿をなぜ連載しようと考えたかというかも触れたいと思います。歩行動作としての山の歩き方を正しく伝える場所(メディアや指導者)があまりにも少なく、何かしらのトラブルを感じている登山者が多いことを山に長くかかわってきて実感するようになったからです。

なので、この「歩行動作としての山の歩き方」を実際に習得するための講座(オンラインや直接指導)をこの春に開講する予定です。受講者が理想とする歩行で登山ができるようになり、北アルプスなどの名峰に一緒に登るガイド登山が最終目標になるような講座を計画しています。詳細を詰めている段階なので告知までもう少しお待ちください。

さて歩きの本質とは何かというと、

  • 落下

  • 沈み込み

  • 不安定

の3つの言葉に要約されます。

山に登るという歩行は、落下の反動を利用し、沈み込むことで前に進み、上体(体幹)を不安定にさせて次の足を前に出す。
これは普段の歩行も一緒です。

さらに、歩くのは前に振り出した足であって、後ろに残った足で地面を蹴ってはいけないし、上体(体幹)を叱りいぶれないように固めてしまっては前にも進めない。

私が山小屋に荷揚げをしている歩行動作ですが、「落下」「沈み込み」「不安定」を使って歩いているのだが判りますか?

  • 落下→振り出した足の接地反力を得るため。

  • 沈み込み→ばねが反発するように膝を抜くことで接地反力を推進力に変換する。

  • 不安定→上体を次の足の設置方向へ倒して設置反力を最大にする。

この繰り返しが歩行という動作になります。登山もこのサイクルを使って登り下ることで疲れない、楽な山歩きができるということになります。

いきなり本質的な部分を単語3つで言われても何のことやらと思ってしまったのではないでしょうか。

連載を続けながら解説はしていくつもりですが、言葉だけで伝えるのは限界があります。動作を習得するということは感覚的な部分が大きいので、記事や紙面だけで正確に伝えることには限界があります。

講座を開講するということは、受講された方に

  1. 私の動作を見る

  2. 真似する

  3. それを私が確認する

  4. 修正する

という繰り返しをレッスンすることで歩きを自分のものにしてもらうためです。歩きというのは「そうする」のではなく「そうなる」ものです。歩きの本質が理解できると、「疲れない」「安全」「楽しい」登山ができるようになります。

昨年開催した山歩き講座のレッスン場面

次回はすぐに実践できるような歩きのコツみたいなものをお話ししようと思います。

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