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【短歌】平成万葉集より


「平成」という時代を生きる人々が、日々の営みから詠んだ歌1000首。「万葉集」の最終歌が詠まれてから1250年にあたる節目の年に、多数の応募作品の中から厳選された短歌を収める。【TRC MARC】より


※()は詠った方の年齢です


ネットでは 調べられないことがある 例えば君の好きな人とか


その昔ときめきたるを手繰り寄せ手繰り寄せては妻を介護す(74)


待つというときめき忘れし若者らメール打ちいる只ひたすらに(89)


真夜中にかすかに聞こゆ隣室の患者泣く声明け方までも


盆毎の墓掃除して手を併せ嫁はこの家の人となりゆく (43)


つまらない午後の授業はケシゴムのカスをまとめてケシゴム作る (15)


パソコンの受講用紙に記入する生日の欄に大正は無し(83)



行き先も告げずに家を出る時にこの生活は終わるのだろう(35)


悲しみを「なんでもない」と済ませても「何かあった」と見抜く母親 (17)



このノート 使い切るまで 生きたいね メモする母の 弱き筆圧 (73歳・女性)



僕のこぐ自転車の後ろでいま君はどんな顔してなに思ってる(19)

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