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すべてから金が稼げるこの無情な時代

父とベトナムとカンボジアに行き市場調査を行ったのがもう一年も前になる。時間の流れとは早くなる一方だ。

その時に父が一人で現地のガイドから紹介してもらった社長と情報交換をして帰ってきたときに漏らした言葉がある。

「俺は化粧品を売りに来てるのに、社長は草刈り機ないかとか言ってきてそんなの取り扱ってないから困っちゃったよ」そう言って父は取り扱いがないと説明したそうだ。

ふざけるなと。サラリーマンならそれでいいのかもしれないが、こちとら自由が売りの自営業である。何のためにこの場所に立っているのか。金を稼ぎに来たのだろうと。取り扱いがないのであれば日本に帰ってから探すから詳細を教えてくれと言えばいい。

向こうも化粧品を売りに来ているのは知ってるから用意がないのは十分承知のはずである。そこで嘘でもいいから次につなげないのはどういう考えなのだ。金がないと言うが金はそこに転がっているのだ。

と言うようなことを言ったら父は驚いた顔でしばらく考えた後確かにその通りだと言って、僕が怠けたりふがいない調子だとこのエピソードを振りかざしてくるのだ。当時の自分にふざけるなと言いたい。

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