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悔しい275円

週に1~2度は、ブックオフに行く。
基本、文庫本の新刊は書店で購入しているが、新刊以外は(お小遣いという)経費を削減するために、できるだけ中古本を買うことにしている。

昨日もブックオフの100円コーナーを物色していると、掘り出し物を発見!
しかも、その本の状態がめちゃくちゃいい。
現在、書店では各出版社が夏フェアを開催中だが、そこに並んでいる本がブックオフで100円(税込み110円)で買えたのだから、それはそれはテンションが上がるってもんさ。

ブックオフのアプリにはクーポンがあり、未使用の100円引きクーポンが残っていた。
それを使えば、なんと10円で買えるのだ。
薄利多売の業界だから、10円で買えるのなら、あと1冊何か買おうかな? という消費者意識を刺激していると思われるが、それにまんまと乗せられているわたしは、もう1冊100円の本を買おうと、再び物色し始めた。
そして、100円の棚に、またしても欲しい本、しかもかなり状態のいいものを見つけてしまったのである!

よーし、これで税込み220円。さらにーポン利用で、120円になる。
なんなら溜まったポイントで端数の20円分を支払えば、2冊で100円じゃないか!
だからブックオフはやめられないのだ。

そんなルンルンなテンションでレジへと向かう。
しっかりクーポンも提示し、無事100円引き。

店員さん「では、100円引きで、395円になりまーす」
わたしの心の声「はーーーーーー? 120円だろーよ?」

わたしは驚き、動揺し、すぐにレジに置かれた2冊の本の値段を確認する。
なんと、あとから手にした本が、350円(税込み385円)ではないか!!!

わたしの心の声「ちょっとなになに! どういうこと?」
目の前では、支払いを待つ店員さんがこちらの様子を黙視している。
わたしはやむなく400円を渡して、釣りをもらった。

おい、なんか悔しいぞ!
悔しさがじわじわとボディブローのように効いてくる。
120円だと思っていたわたしの気持ちはどうなるんだー!

しかし、395円でも安いことに変わりはない。
当初の支払予定額120円。その差は、275円。
大したことがないと言い聞かせつつも、(器の小さい)悔しさが、どろどろと全身の血管を流れていく。

もちろん、確認しなかったわたしも悪い。
でも本当は、「どうして100円の棚に350円の本があるのよ~」とデカい声で叫びたい。

ジェーン・スーの本が、海外の作家のコーナーにあるのを時々見かけるし、村上春樹と村上龍がごちゃ混ぜになっていることだってよくある。

可能性としては、
① 店員さんが、品出しの際に間違ってしまった。
② お客さんが、一度手に取った本を、「やっぱり買うのや~めた」となって適当なところに並べてしまった。
などが考えられる。

② なんて、ありそうだ。
だとしても、原因を探ったところで、買っちまったもんは仕方がない。
レジで「やっぱり買いませんって言えばいい話でしょ?」とか「値段を確認しないのが悪い」と言われたら、オラなんも言えねぇだよ。

あー、でも、地味に悔しい。

② のようなケースはよくある。
例えば、スーパーで買い物をしているとき。
「やっぱり買うの、や~めた」と思われる商品、仮にそれが「納豆」だとして、納豆が、全然関係のない「漬物コーナー」に置いてあったりすることがあるアレだ。
そういうのを見かけると、ムキ~っとしてしまう。

あとは、通常の野菜コーナーに売っている「きゅうり」とか「キャベツ」なんかが、産直コーナーに「やっぱりこっちの産直のほうが欲しいから、買うのや~めた」的な感じで、カメレオンみたいに置かれていることもよくある。
純粋に産直コーナーの野菜を買おうと思っていた人が、普通の野菜コーナーに売っている野菜を買っちまったら可哀そうだろうよ!!

ったく、横着なヤツがいるもんだよ。自分だけ良ければいいのか、まったく……ってな感じで、ときどき憤慨するわたし。
きっと、そんな横着タイプの人が、適当に350円の本を100円の棚に入れたんだろう。
うー、だとしたら許せん。

しかし、覆水盆に返らずだ。
本は心の栄養、もしくは薬じゃないか! 
気を取り直して、読書を満喫しようではないか!
いつまでも過ぎたことにクヨクヨしていたって仕方がない!

あ、ちなみに、この本のタイトルは、「すりへらない心の作り方」である。

めっちゃ、すりへってるから!
あ、でも、そのすりへった心を癒してくれる本なのか!
ならば、余分に払ってしまった275円の価値もあるのかもしれないな。
いや待てよ、この流れだと、初めからすりへるのがわかっていて買ったみたいじゃないか。
この本には、そんな引き寄せの力があったのか?!(って、思考がどんどんミックスジュースみたいに色んなもので混ざってしまっている)

……その日の夜、妻にこの話をしたところ、
「そのくらい、別に大したことないじゃん」と一蹴されたわたし。
「そういうことじゃないのよ」と言ってはみたけれど、所詮小さなことだと、オリンピックで頑張っている選手たちを見て思ったのであった。

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