- 運営しているクリエイター
#創作
第三話 舎弟と青服非常勤:境壊
一、
布団の中。
男は、ようやく目が覚めた。
黒い柱が支える古い家屋は、黒い格子に区切られた障子紙の向こうからの光で薄ぼんやりと照らされてる。明るさのわりに家の中の印象は重たい。
頭を上げようとすると湿気を含んだ自分の髪が重く頭が思うように上がらない。目の霞が治まらないまま自分が寝こむ直前の事を思い出す。身体以上に重たく感じる布団を持ち上げることができず起き上がれる気がしない。だが今
第一話 巨鶏強襲事案
1新宿鶏事件
自宅のある埼玉県に行くなら地下鉄の方が簡単なのは解っているが、あの地下独特の圧迫感と今日のむしゃくしゃ具合につけて地上線をおざなりに選んで座っている。新宿駅は時々始発になっているので便利だ。と、新倉はぼんやり開いたままのドアをみている。さっきみた映画がレビュー以上に酷くて今日一日を台無しにしたという気持ちが大きすぎて、動く気力がわかないでいた。
人の群れにそって歩く妖怪は少なくない