見出し画像

006 M3にまつわる様々な思い出

「秋と春の風物詩」

10月末、または4月末に近づくにつれ、SNS上で「M3(エムスリー)
というイベント名をよく見かけるようになるのは私だけだろうか。
この時期になると各々のハンドルネームの横にサークル番号が追加され、
告知や試聴音源などの情報が飛び交う。
そんなタイムラインが、もはや秋と春の風物詩となっている私である。

M3の正式名称は「音系・メディアミックス同人即売会 M3」なのだが、
このイベントを知らない人に説明するとなるとだいたい
「コミケの音楽版」で話が通る。「コミケ」という単語の浸透具合には頭が下がるなぁ。行ったことは一度もないけども。

「いろんなきっかけ」

16歳の私がM3に初めて行ったのは2012年の秋のこと。
当時、ニンテンドーDS作曲ソフト「KORG M01」で作曲の世界に足を踏み入れたばかりの私は、恩師・佐野電磁さんの勧めで行ってみたのだった。が、佐野さんの「DETUNE」ブースしか知らない状態で行ったので何が何だかさっぱりで、会場が暑かったのがやけに印象に残った。

2014年の春にはもう出展側に立っていた。
専門学校の仲間と、ボカロのコンピレーションCDを作ったのである。
ほぼ無名の状態の自分が作った曲を、知らない人に買ってもらえたという事実にとても感動した。

そんな経験も束の間、恩師・ディスク百合おんさんの勧めによって
「胸毛レコーズ」から「18歳のナードコア女子・古町MOI」としてCDデビューしたのが、2015年の春。
その後もいろんな方々にお世話になりながら今現在までM3に参加できているのは、とてもありがたいことだと感じている今日この頃である。

なんと「ナードコア」というジャンル自体を初めて知ったのもM3のサークルチェックをしていた時だったというのが、自分でも驚きだ。

「ありがたみが消えた!?」

この11年の間には「楽しかった!」だけではない感情もあった。
最低でも6回くらいサークル参加すると誰もがなんとなく通るであろう、あの現象。あえて言ってしまおう。

同人即売会には「会えて嬉しい!」という事実に加えて、
「作品を買ってほしい!」という現実が付いてまわるのだ。
私の場合「知り合いの作品は買いたいし、自分の作品も買ってもらいたい。でも全員というわけには…」という気持ちであった。

私は律儀なほうなので、差し入れのお菓子なども毎回用意していた。
だんだんイベントに対する義務感が出てきて自己犠牲気味になり、いつしかM3がイヤになってしまった。

そんなこんなで消えてしまったはずの「ありがたみ」が戻ってきたのは意外にも早い。2022年の春だった。コロナ禍を挟んで、客層や人付き合いが一旦リセットされたのもあるかもしれない。自分が好きなようにサークルを回れる気持ちになった。

「打ち上げのLBT」

M3の思い出といえば「M3の後の打ち上げ」が上位にランクインするほど、打ち上げによく参加していた。もともと夕方には終わるイベントだから、反省会という名の飲み会が早い時間から行われた。未成年のうちはお酒は飲めないし、成人してもあまり飲まないけど、周りの大人が面白くて。
いつも幹事となっていたのはサークル「LBT」のDJイオさんやパリッコさんだった。パリッコさんがライター業で忙しくなってからもLBTが頼りだったのでよくメンバーに付いていった。

特に、ナードコア界隈に飛び込んだ2015年ごろの打ち上げがとても印象に残っている。
まだ若手側だった、本格的に薄毛治療をする前のディスク百合おんさんは
若さのある下ネタ話が多く、未成年だった私はイオさんに
「大人ってみんなこういう話をするんですか?」と純真無垢に聞いたところ
「百合おん君こういう話好きだからねぇ。」と、ある意味同等の純真無垢で返された…という思い出。

治療はうまくいった

あと、オタポップユニット「天誅」に加入したばかりのインコさんが、私に
「モイちゃん!ファーストキスって、もうした〜?」と言いながら口付けを迫ってきた思い出。※インコさんは女性である。

とても刺激的な打ち上げだが、みんな疲れてるのもあって毎回スムーズに解散していた。また会うのは次のM3かなぁ?などと思ったりはせず、その場をとても楽しく過ごしていた。
そんな機会を作ってくれていたイオさんが亡くなってしまったから、M3の後ってどうしたらいいのか今よくわからない。人を集めるのは覚悟がいる。たとえM3後の打ち上げであろうとも。あぁ、ニュー新橋ビルで、みんなの下世話な会話をちょこんと聞いていた頃が懐かしい。

「歌手宇宙で過集中」

なんだかしんみりとしてしまったが、昔は昔、今は今。
私がシーンを引っ張ってくぞ!というくらいの強い気合いでいきたい。
ちょうど今これを書いている現在も「M3-2023秋」が迫っている頃合いだ。

あまりここで告知はしない自分ルールなのだが、M3-2023秋に参加する方は、ぜひ第一展示場 G-12a「スーパーモイズ」に足を運んでいただきたい。新譜CD「歌手宇宙」を引っ提げて、古町MOIがお待ちしております。…とだけ伝えておこう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?