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第2回|過去問を確認しよう(2024年2月出題分)|保護者のための中学受験作文講座


はじめに

こんにちは、個別指導ハリー・サポーターです。この講座『保護者のための中学受験作文講座』は、全10回で、ご家庭で知っておいてほしい・取り組んでほしい作文対策について、ご紹介するものです。

このコンテンツは、記事型SNS『note』にて原稿を、『YouTube』にて動画を公開しております。宜しければ、どちらもご覧くださいませ。さて、内容に入っていきましょう。

各校の作文課題の概要

2024年2月、都立中で出題された作文課題は、例年通り、少し長めの参考文献を読み、それに関して自分の意見を述べる形式でした。なお、立川国際中は課題文が1個でしたが、その他の学校は課題文が2個用意されています。

それぞれの課題内容については、『note』にてご紹介していますので、よろしければご覧くださいませ。

東京都共同作成問題

東京都共同作成問題の出題テーマは『言葉』。文章1では、岡本かの子・与謝野晶子の短歌を紹介、短い言葉で情景や感情を共有できることを説明しています。文章2では、松尾芭蕉の言葉を紹介、俳句の『おもしろさ』と『真髄』を説明しています。その上で、受験生が『学校生活で仲間と過ごしていく上で、言葉をどのように使っていきたい』かについて、400~440字で説明させる問題でした。

東京都立桜修館中等教育学校

桜修館中の出題テーマも『言葉』。文章Aは、長田弘(おさだひろし)の『読書からはじまる』を引用。『成長するとは、言葉を覚えるということ』であると説明しています。文章Bは、ドミニク・チェンの『未来をつくる言葉』を引用。人の話す言葉を理解しようとする過程を『翻訳』と呼び、他者とのかかわり方について説明しています。ここでは、ウェブ上における価値観の異なる人とのかかわり方が問題意識となっています。その上で、受験生に『言葉を学ぶことの意味』と『今後の学校生活で言葉・他者とどう向き合うか』について、400~500字で説明させる問題でした。

東京都立立川国際中等教育学校

立川国際中の出題テーマは『予測・予見』。戸谷洋志(とやひろし)『SNSの哲学 リアルとオンラインのあいだ』を引用、アンリ・ベルクソンの思想を紹介。人間の好みに応じて広告を表示するアルゴリズムと、人間の変化・成長について説明しています。その上で、受験生に、『筆者が人間をどのように捉えているか』と『その考えを学校生活にどう生かすか』を400~460字で説明させる問題でした。

東京都立三鷹中等教育学校

出題テーマは『画一的と個性』。三浦しをんの『墨のゆらめき』を引用し、書道教室において、画一的・模範的な字を書くのではなく、個性的な字を書くための取り組みを紹介しました。さらに、標野凪(しめのなぎ)の『こんな日は喫茶ドードーで雨宿り。』を引用し、『自信が持てる』というのがどういうことかについて、エピソードを紹介しました。その上で、受験生に『人が自信をもって生きていくためには、周囲の人とどのような関わりをもつことが必要』かについて、360~400字で説明させる問題でした。

東京都立南多摩中等教育学校

出題テーマは『相対化』。文章1は、佐々木貴教(ささきたかのり)『地球以外に生命を宿す天体はあるのだろうか?』を引用、地動説と天動説の対立からスタートして、人類の相対化の歴史を紹介しています。文章2は、信原幸弘(のぶはらゆきひろ)の『「覚える」と「わかる」知の仕組みとその可能性』を引用、三人称・客観視について説明しています。その上で、受験生に『何を大事にし、どのように行動していこう』かについて、300~400字で説明させる問題でした。

保護者が理解すべき作文対策のポイント

これらの問題を見てわかるように、都立中学の作文問題は、単に文章を書く技術だけでは不十分です。大人が読んでも、読みふけってしまうような面白い書籍・面白いテーマが選ばれています。

ここで受験生に求められる力は、国語のテストで選択肢を選ぶ・該当部分を探して答案を作成するといったような、単純な学力ではありません。かなりの文章量を早く読み、それを正確に理解し、自分の意見を論理的に組み立てなければなりません。

そこで、保護者の方々が「作文対策」として心掛けるべきことは、以下の点です。

  1. 課題文を早く正確に理解する訓練
    各校の課題では、課題文を早く正確に理解する必要があります。過去問を使いながら、早く読む力・正確に理解する力を養うことが大切です。

  2. 論理的に書く訓練
    単に文章を書くだけ、スラスラ文章を書くだけでは対応できません。論理の抜け漏れに、自分で気付くための訓練が必要です。そのためには、添削も、2~3回添削してOKとするのではなく、どうしてそう書いたのか、どう書くべきだったのかを、生徒自身が理解する必要があります。

これらの訓練をしようと思ったら、学校・塾での指導は、実はほとんど役立っていません。次回は、『塾の指導の弱点を確認しよう』というテーマでご紹介します。

それではまた。

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