出題趣旨を確認しよう|都立中・公立中高一貫校|ハリーの中学受験対策
入試作文では、意見は自由に書いてはいけない
作文について、『自分の意見を自由に書くもの』と思っている人は少なくありません。
しかし、自分の意見を自由に書いて良いのは、『学校の宿題作文』や『読書感想文』だけです。
受験作文は、『自分の意見を自由に書くもの』という性質のものではありません。
本記事では、このことを丁寧に確認していきたいと思います。
2つの出題趣旨
今回は、有名2校の出題趣旨を見てみましょう。
なお、その他の学校も似たようなものですから、2校見れば十分かと思います。
東京都立 小石川中等教育学校(令和6年度受検)
東京都立 桜修館中等教育学校(令和6年度受検)
東京都立 小石川中等教育学校
『東京都立小石川中等教育学校の適性検査問題の出題の基本方針』<ダウンロード>には、以下のように記載されています。
ここに書かれている要素をチェックしてみましょう。
文章の内容を的確に読み取る
読み取った内容をまとめる
読み取った内容を踏まえて、自分の考えを論理的かつ適切に表現・説明する
ところで、作文採点・添削をしていると、課題文を踏まられていない作文が非常に多いのが現実です。
学習塾などで、『こういう作文題材では、こういう内容で書く』ということを指導されているのではないかと思われる場合も少なくありません。
ただ、このようなテンプレートは、本番では全く意味がありません。
というのも、テンプレートを作ってしまうと、『読み取った内容を踏まえて』ということがおろそかになってしまうからです。
1つ1つの題材を、丁寧に読み取って、その内容に即して、考える訓練をしなければなりません。
その上で、考えたことを、『論理的かつ適切に表現・説明』しなければならないのです。
保護者の方がイメージしやすいものとして、面接対策が近いと思います。
テンプレートを作ったところで、面接官だってバカではないので、人を選びたい面接では、テンプレートを暗記してきたような人を落とすための質問をします。
受験も同じです。
受験、特に、思考力型試験は、『自分できちんと考えない人を落とすための考査』です。
単なる暗記で対応しようとした人を排除する必要があるのです。
東京都立 桜修館中等教育学校
『令和6年度 東京都立桜修館中等教育学校の適性検査問題の出題の基本方針等』<ダウンロード>には、以下のように書かれています。
ここに書かれている要素をチェックしてみましょう。
二つの文章の内容を的確に読み取る
読み取った内容をまとめる
読み取ったことを踏まえて、自分の考えを論理的かつ的確に表現する
まぁ、『小石川中等教育学校』と似ていますね。
言葉の選び方の違いはありますが、やらなければならない作業は、ほとんど同じと見てよいでしょう。
中学受験の作文対策とは
見てきたように、『中学受験作文』は、『自分の意見を自由に書くもの』ではありません。
課題文を読んで、それを”踏まえて”書かなければならないものなのです。
中学受験の作文答案を書く際には、通常、以下のプロセスを経なければなりません。
課題文を、早く正確に読み取る
著者の問題意識や論拠を、早く正確に整理する
自分の意見を組み立て、早く正確に文章化する
つまり、中学受験作文対策と言うからには、この3つの能力を鍛えなければならないのです。
to be continued…
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