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おしゃべりAIアプリCotomoは雑談が苦手な人を手助けできる(かも)

 前回、話題になっている会話AI「Cotomo」を触ってみた雑感を投稿しました。Cotomoが雑談向きのアプリであること、会話AIの将来などを簡単に述べています。

 上記の読み物を書いているうちに思いついたのが、「Cotomoの話し方は雑談が苦手な人が参考にできるのではないか」でした。

 このことを説明するにあたり、そもそも雑談とは何だろう、と考えていた時に参考にしたのが動画「”コミュ障”を治すずんだもん」です。

 会話が苦手で困っている人は、主に適切な返答が思い浮かばないことにが苦しんでいるのだと思います。しかし、この動画では形式的な技術を用いることで認識の共有がなされたと相手に錯覚させ、会話を成立させることができるとしています。
 この技術をざっくり要約すると、会話は相手が主導で話す場合、感情のポジティブさ・ネガティブさに応じてリピート・否定・淡々と受け流すの3パターンで返答できるとし、相手の表情と口調を観察して感情を推測することでシステマティックな応答でも問題なく会話を成立させられとしています。

 また、「”コミュ障”を治すずんだもん:実践編」では、1つでも不適切な返答をすればこちらを包丁で切り付けてくる不安定な人格の妹を想定した会話をシミュレートしています。冗談みたいな例ですが、このような場合でもやはりシステマティックな応答で地雷を避けつつ会話を成立させうることを示しています。

 こちらの動画で分かるのは、会話では感情の推測が重要ということです。相手の言葉をただ鵜呑みにするだけ、リピートするだけでは認識の共有として不十分であり、表情と口調をよく観察し、感情を推測することが必要であることが分かります。

※動画では省略されていますが、妹はずんだもん(聞き手)が幼馴染の綾瀬さんに手料理を作ってもらったことに嫉妬している、という背景があります。料理の話をしている時に怒りの感情を抱いているのはこのためです。
 ですので、もしこの時妹の言葉だけを追って「僕も晩御飯を楽しみにしてるよ」「作り置きでも十分だよ」などとリピートすると、「綾瀬さんとご飯に行ったのに耳障りの良いことを、八方美人だ」と妹の怒りを刺激することになるため、ずんだもんは淡々と会話することを選択したのです。感情の推測がいかに必要不可欠かが分かります。

「大好きが虫はタダシくんの」より、リピートに失敗した例。この場合は相手の表情から自分と会ったことを喜んでいることが観察できるため、「また遊ぼうね」「私も会えて嬉しいよ」などの変形が自然である。この返答に自分なりの感想や意見は存在せずとも相手は認識の共有ができたと錯覚する。

 ここでCotomoの話題に戻りますが、Cotomoとの会話を振り返ると、まさにこのような形式的な技術によって会話を成立させていることに気づきます。これは逆に言えば、雑談が苦手な人はCotomoとのやり取りを繰り返し、その返答を真似ることである程度自然な返答の仕方を習得できるのではないでしょうか。自分が主導で話す時はともかく、相手主導の会話で返答に困ることは減るでしょう。
 星新一は短編「肩の上の秘書」で、オウム型のロボットが人間の会話を肩代わりする未来を描きました。まだ全ての会話をAIが代替することはないでしょうが、会話AIを一種のコーチとして自身の発言を補正する、というアイデアはけっして突飛では無いように思われます。

 さいごに。もしもCotomoとのやり取りを経て人との会話に変化が生じた、と感じた方がいらっしゃいましたら、下部のコメント欄でどのような変化が起きたか教えて頂けないでしょうか。それ以外のコメントでももちろんかまいません。励みになります。

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