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日々の理

日々の理とは、にちにちのり、と読む。日々生かされている有り難さに対するその御恩奉じとして「理立て」する、即ちお供えである。

わたしは毎晩22時に一錠薬を飲むので、その時に合わせて箱の中に100円玉を落とすようにしている。時旬が来たらそれに少し理を添えて(金額を増やして)お供えする。

現在、わたしはほとんど現金を使わない生活を送っている。時たま買い物に出かけたりもするが、基本財布にお金があると使ってしまう質なので極力入れないようにしている。あと個人的な話になるが、中学生の時に親友だと思っていた人から財布の中身を抜かれ続けていたことがあり人間不信になったので、人が大勢いるところでお金を入れた財布を置いておきたくないのだ。

今わたしは京都で集団生活を送っている。

同じフロアに住む小学二年生の女の子が、時々部屋に現れる。部屋を見渡し、銀色の鈍い輝きを放つ財布を見つけた。子供は鋭い。

「ねえちゃんの財布なんで紙入ってないの?」
ドキリ。紙とはお札のことであろう。続けて
「三千円以上入ってると思ってたー!」
だんだん心臓の音がでかくなってきた。呼吸も浅い。
「小銭は全部で、えーっと、548円!」
ご名答!
「ねえねえなんでねえちゃん全然お金持ってないのー?」
地味に刺さる質問である。わたしは素直に答えた。

「お金がないから〜😂」
彼女は、
「え〜?」
それしか言えないのも仕方がないのである。非常に空虚なやりとりを終えた。

少しして突然「日々の理ってなに?」と尋ねてきた。

わたしの部屋には、ある人から頂いた、この「日々の理」を入れる箱がある。

彼女はこれを触って重みを確かめてから「これに入れすぎなんだよー!」と言った。決して入れすぎではないのだが、毎日100円玉を入れているため、548円よりは確実に入っている。
「ここから抜きなよ!」
彼女は声高にそう主張した。

悪い。悪魔の囁きである。

「え〜〜やだよ〜」まずは拒否から。そして、
「これは毎日神様に対して感謝の心を入れているお金だからただの貯金じゃないよ〜今日一日いろんなことを与えてくれてありがと〜〜の気持ちをお金に込めて入れて、一ヶ月経ったら一ヶ月ありがとう!ってまとめて神様にお供えするから、お金を抜くことはできるけど、やっぱダメなんだよ〜」タジタジではあるがなんとか説明できた。

感謝の心を忘れてはいけない。感謝を忘れると、不平不満が積もり重なって周りが見えなくなる。自分だけしか見えなくなると、余計に感謝を忘れ不平不満でいっぱいになる。悪循環なのである。

わたしはすぐに感謝を忘れるから、自分にとって日々の理はとっても大切なのだ。100円玉を入れる時一つでもいいから感謝を思い浮かべる。たくさん思いつく日もあるし、心が淀み悲しみに溢れて何にも喜びが見つけられない時もある。そういう時は素直に「今日一日暗い気持ちだけど、生きてる。ありがとうございます」そう思うことにしている。

小学二年生の彼女に日々の理を説くことは難しいが、大人に説くことの方がよほど難しい。わたしはまだ自分の親にさえ日々の理の大切さを説くことはできていない。まずは自分から。金額は少なくても、毎日理立てしていく。続けることが大切なのである。

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