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9/8-10 最果ての名山 羅臼岳・斜里岳。

日本の最果て、世界遺産の大自然が広がる地へ。

今シーズンでもトップクラスの移動距離、スケールの大きさを誇る企画がやってきました。日本で最も東にある百名山、羅臼岳斜里岳を連続踏破する企画です。総走行距離1400㎞、総歩行時間14時間に及ぶ壮大なる計画の記憶をお届けします。

真夜中の三国峠・松見大橋

夜の旭川北見路を疾走。出会えた風景は…

いきなりリサーチ不足を露呈してしまったのが最初の移動。札幌を夜の8時に出発し、翌朝に羅臼岳の登山口に到着すべく車を走らせる計画なのですが、滝川の辺りで思わぬ事態が。
電光掲示板に踊る文字は「愛別~白滝 工事通行止」 使おうとしてた旭川紋別道死んでる…この瞬間、真夜中の石北峠を越えなくてはならないことが確定。こうなったらもう仕方ないので、真っ暗な国道39号を爆走、そのまま温泉街に泊まりたいという欲望を抑えながら層雲峡を通過し三国峠に寄ってから石北峠を越えることに。三国峠は標高1139m、北海道の国道の最高到達点です。上士幌側には松見大橋と呼ばれるフォトジェニックな橋があり、夜に行くと静寂の東大雪と眠らない道路のコントラストが映える写真を撮ることができました。いつ通っても美しい、管理人も大好きな道の1つです。でも道中鹿が多すぎてチビりそうになった

大地を照らす希望の光。

三国峠、石北峠を通過し、オホーツク地方に突入。今度は津別峠美幌峠で朝日を迎えることに。これらの峠では屈斜路湖にかかる雲海が観測できることでも有名ですが、今回は見られず。それでもとても素晴らしい朝焼けを見ることができた。

津別峠。夜明け前。
朝日と斜里岳。美幌峠より。

実は本来の予定では朝日を見ている時間あたりには羅臼岳の登山口についているはずだった。いきなり遅れを背負ってのスタートです。朝焼けを見たら、羅臼岳の登山口へ急ぎます。

世界遺産の山、羅臼岳に挑む。

知床は世界自然遺産登録地で、手つかずの大自然が残されています。そんな知床の山で最も高い山が羅臼岳です。今回は最もポピュラーなコースである岩尾別コースを通過しました。

登山道入口

羅臼岳は大きく分けて3つのゾーンに分かれています。第1ゾーンは森林地帯。このエリアはどの山にもよくあるまだ木が高い森林エリア。この森林エリアの後半には登山道唯一の携帯トイレ場があります。このエリアで注意しなければならないのは、登山道の頭上付近に垂れ下がるように成長しているダケカンバ。足元ばかり見ていると頭をぶつけます。管理人、一発頭をゴチンとぶつけてしまい超痛かった。

これはそんなに低くないけど…
頭より低い位置に伸びるダケカンバがたくさんある。

あと第1ゾーンで気を付けるべきはコースの途中にある極楽平なるエリア。いかにも楽できそうな名称で、地図を見ると等高線の間隔も広いとあって負担少なく行けるのかと思いきや、確かに傾斜は緩いけど足元は不安定、しかも頭上には頭をぶつけそうな危ない木があり、とてもじゃないが極楽な場所ではありません。楽できると期待していると痛い目見ます。

第2エリアは谷ですよ。

登り始めて2時間くらい経つと、大沢入口という看板がありその先は尾根に続く谷筋を登っていくことになります。景色が開けることで、傾斜は急になっていきますが元気になれるはず。

谷を登ります。
谷の途中には一部危険な岩場もあり。慎重に!

谷を登りきると到達するのは羅臼平。ここにはキャンプ指定地があり、平坦地が広がっているので、休憩地点としても最適。こんな天空の楽園でキャンプ、夜空には満天の星空、なんてシチュエーションだと最高ですね。ただヒグマが怖い…
羅臼平から東方面を眺めると国後島がよく見えます。近いようで遠い、日本領なのに自由に入れない。緊張感が漂います。

羅臼平から山頂を望む。

羅臼平からは目指すべき山頂がはっきりと見えます。羅臼岳のこの姿は山に挑んだ者にしか見ることができない特別な羅臼岳の姿です。知床峠から見る羅臼岳の姿は羅臼平から見える姿とは全く違います。

知床峠から。

知床峠から見た姿は火山の姿、一方羅臼平から見た姿はゴツゴツした岩山。これほど見た目が変わる山も北海道では珍しいですね。

第3ゾーン、最後にして最大の試練。

羅臼平で休憩と軽食を取りエネルギーをチャージした登山者に最後に待ち受けるのが第3ゾーン、岩礫地帯です。羅臼平と山頂の間は地図で見る限り距離は短いものの1時間近くかかります。油断せず最後まで頑張りましょう。羅臼平を出発してしばらくは途中ハイマツ帯があるものの比較的歩きやすいエリアですが、ある程度進むと羅臼平で見えていた山頂付近の岩が登山者に牙をむきます。

このような岩がゴロゴロした急坂をガツガツ登っていかなければならないのです。山頂は間近に見えるのになかなか到達できないもどかしさとも闘いながら、前半戦最後の力を振り絞ります。

知床の頂へ。

最後の試練を乗り越えた登山者に与えられるのはこの風景。360度の大パノラマ、美しい知床連峰の絶景が広がります。

羅臼岳から知床岬方面。
羅臼岳から南側、斜里岳方面。

よく晴れてくれて、本当にいい登山だった。山並みだけではなく、羅臼湖や知床横断道路、羅臼とウトロの市街地などいろんな風景が見られますよ。
急な岩場を登ったということは当然急な岩場を下りなければなりません。慎重を期して下ってください。
本来9時間かける予定だった登山ですが、予定より大幅に早く進み7時間程度で登って下りることができ、行きでチンタラしすぎて遅れた分をほとんどチャラにできました。

今回の拠点は川湯。

羅臼岳から下りたら知床ですぐに風呂に入って、知床横断道路(路上をヒグマが闊歩し、ガードレールを乗り越えていった。登山道上じゃなくてよかった…)を走ったり羅臼市街地にも足を延ばしたりしてしばらく知床半島をうろうろした後、今企画の拠点となる川湯に向かいます。
屈斜路湖の東岸にある川湯温泉は北海道道東を代表する温泉街の一つです。この温泉は釘を3週間で溶かしてしまうほどの強酸性が特徴(pH1.67くらいだったかな?)で、温泉が目に入ったり、体に傷があったりするとしみるので注意が必要です。普通に入っている分には体がピリピリするとかそういうことはないので安心してくださいね。
川湯では硫黄成分の影響で電化製品などが壊れやすく、温泉の循環器も例外ではないため、全ての温泉施設が源泉かけ流しであることも魅力の一つ。
今回宿泊したのは、ゲストハウスNOMYです。外装こそ古めですが、内装はリフォームされており快適に過ごせる宿屋で、1泊素泊まりで3000円という安さ。隣接する温泉に400円で入れる割引券もあります。我々のような旅人が他にも何人かいらっしゃいました。

2日目。斜里岳に挑みます。

2日目は今回のもう一つのメインターゲットである斜里岳登山です。斜里岳というけど登るのは清里町からの清里コース。羅臼岳は標高300m地点からのスタートですが、斜里岳は標高700m辺りまで道路があって、より高い所から登山を開始することができます。

さて、斜里岳の登山道ですが最初は緩やかな下りからスタートします。下りきると、道幅の広い、車も通れるレベルの林道に出ます。この広い林道が終了するといよいよ本格的な登山道がスタートします。

渡渉が始まります‼

林道終点から少し進むと、沢が目の前に現れます。斜里岳清里コースの最大の特徴はやはり沢登り。旧道コースは沢横や沢を渡るように登山道が付けられていて、とってもワイルド。沢を渡るときは飛び石で渡れるので、通常の登山靴があれば十分登山可能ですが不安な方はゲイターを装着したりヘルメットをかぶると良いと思います。我々のような脳筋登山者はそんなの持っているはずがない…雨などで沢が増水しているときに登るのは非常に危険なのでやめましょう。沢横をガツガツ登るのに自信がないときは、下二股から先は沢を回避した新道コースを登ることもできます。多くの登山者は、登り旧道、下り新道を使います。我々も登り旧道、下り新道を歩きました。

流れている滝の左側に登山道があるよ

しばらくは沢を登っていきます。当たり前ですが疲れたとしても沢水をそのまんま飲んではいけません…エキノコックスのリスクがあります。途中どこを歩けばいいのか明瞭でなかったり、どの石を踏み場にすればいいかわかりにくい所もありますがピンクテープやGPSアプリ、地図を見ながら着実に進んでください。たまに沢を渡るときに踏み場に使った石が浮石でぐらつくことがあるので注意してくださいね。

上二股。ここで沢は終了。

2時間くらい登っていくと上二股に到達します。新道コースとの合流地点です。ここにはコース上唯一の携帯トイレ場があります。

上二股。

馬の背を通過し、斜里の頂へ。

上二股から先はよくありがちな登山道になります。木の高さが低くなり、視界が開けてきます。上二股から30分で馬の背まで到達、馬の背から山頂までは15分。

上二股~馬の背。胸突き八丁と呼ばれる急坂。
馬の背。ここまでこればあともう少し。

馬の背から先には2回急坂があります。1回急な坂を上り、平坦になって、再び急な坂を登れば山頂、という波状攻撃でこちらに試練を与えてきます。

山頂直下、2つ目の急坂。

2つの坂を越えれば、斜里岳の山頂です。
東オホーツクの大地を一望する絶景、羅臼岳とはまた違った美しさでした。山頂で休んでいると、母娘で登ってきた4人組くらいのパーティが来て、聞いたところ子供は7歳なのだとか。すごいなぁ…なんて思っていたのですが管理人、後日斜里出身の人と会う機会があって、その方が言うには斜里では小学生で斜里岳に登るんだとか。小学生から登るということはやっぱり地元のシンボルで特別な山なんでしょうね。

斜里岳山頂です。

下りは新道コースで。

下山は先ほども書いたとおり、新道コースを通過します。沢は無く、通常の登山道と同じような形です。新道コースは序盤と中盤以外は眺めがよく、稜線や清里・小清水の市街地、畑作地帯を正面に見ながら下山していきます。

稜線がいい。
ハイマツ帯と市街地と海。

新道コースは2回大きな登り下りがあり、そのうちの一つには熊見峠なる名前が付けられています。ヒグマが見えることがある、という感じの由来なのかな、などと考えながら歩いていましたがヒグマには出会いませんでした。前日に安地からヒグマはみましたが、まだ山中では一回もあったことがないですね。

終盤は急で滑りやすいので注意。

新道コースですが終盤は森林地帯に入り、しかも急な下りでスリップしやすいので気を付けてください。特に雨上がりは危ないと思います。管理人も一回転倒しかけた。
この急な下りを下りきれば下二股、旧道コースとの分岐地点に出ます。その先は登りも通った道を下っていきます。最後まで集中していきましょう。渡渉で気を抜いて、川にドボン、なんてことになったら笑えないです。最初が下りだったので、斜里岳は最後少しだけ登り返してフィニッシュとなります。登山口には山小屋清岳荘があり、ここでは100円の協力金を払ってトイレを使うことができるほか、飲み物の購入や宿泊もできます。管理人はコーラ(180円か190円だった。山基準でいえばかなり良心的価格)を購入し、カイジがビールを飲むようにゴクゴクいっちゃいましたね。悪魔的コーラでした。

ちょっとだけ下山後に観光。

斜里岳から下りたら周辺の道の駅のスタンプを押して、アトサヌプリを見て弟子屈ラーメンを食べてから川湯に戻ります。清里の道の駅は「パパスランドさっつる」というのですが、このパパスってどういう意味なんだろうとみんなで考えていました。管理人はドラクエ5のパパスが頭から離れなくて他の選択肢を考える余地がなかったのですが、スペイン語で「ジャガイモ」を指すパパス(Papas)を駅名としたというのが正解らしい。ぬわーーーーーっ、そんな言葉があったとは。

アトサヌプリ
弟子屈ラーメン。

弟子屈ラーメンの店に明らかに北大生だろうと思われる8人組くらいの集団いました。会話の内容が多分北大生だな、というものだった。

あとがき。

3日目は観光地を回って帰っただけなので省略。書くのつかれた…
次回記事は『10/7-8 根室さんま祭り+雌阿寒岳』です。お楽しみに!


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