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釣り嫌いが釣り好きになるまでの話。

今日も一応2000文字を目標に書いてみます。1000文字だと自分が物足りないのです。でも毎回1500字くらいで、もう無理、書くことないってなるんですけど、そこから自分を追い込んで絞り出した500字に意味があると思うので(ない)、今日も頑張る。

ヤマメ


僕がこの「阿仁」という場所に来て間違いなくいちばんハマったのが渓流釣りだ。毎週必ず行っている。めちゃくちゃ楽しい。

でも最初は全く楽しみ方が分からなかった。マタギの師匠に山菜採りも、渓流釣りもすべて教えてもらったのだけれど、この渓流釣りは正直もうやらなくてもいいかなあと思ったほどだった。たぶん釣りが嫌いな人だとか、興味がないという人の大半が「いろいろと面倒」だからもうやりたくないと思っているのではないかと感じている。僕は恵まれていたことに、その面倒の半分を占める「川に行くまでの準備」を師匠がやってくれていた。だから何も考えずに川に行くところからスタートできたのだけれど、それでも最初は面倒だった。

糸がいろんなところに絡む。釣り竿を持っているので歩きにくい。針が根がかりして仕掛けが切れる。長靴で入ったら足がずぶ濡れになる。歩いた分戻らないといけないのでヘトヘトになる。なのに、魚は全然釣れない。こんなん誰がやんねん、って感じだった。師匠に誘われなければ魚釣りに行くことはなかったと思う。むちゃくちゃ面倒なのだ。

そこから少しずつ行くようになったのは、魚が釣れ始めたからだろうか。魚が餌に食いついたときの感覚がうれしい、たのしい。どうやったらもっと釣れるのか知りたくなる。餌の付け方、魚への忍び寄り方、仕掛けの長さ、おもりの重さ、最近は竿の長さまで、その場所での最適解を探す。もちろんその場その場で状況は違うので毎回完璧な状態で臨むことは難しい。でもその試行錯誤がたのしくなってきた。一応本を読んだりもしたけれど、やっぱり自分で考えるのが好きなので、自分がいちばんやりやすいやり方とか、考え方を作っていった。

関さんが作った魚捌き用のナイフ

なんかいろいろ書いたけれど、僕が釣りをしたいと強く思うようになったのは、この魚捌き用のナイフを鍛冶屋さんから買った時だったことを思い出した。阿仁に移住した年には全く釣れず、釣りなんてもうやりたくない、とヘソを曲げた。でもやっぱりマタギをやるからには釣りも出来なきゃお話にならないよなあ、とも感じていた。そんなときに、鹿角の鍛冶屋さんのお話を聞きにいく機会があった。

関さんという方がその鍛冶屋を営んでいる。関さんは僕と同年代なのだけれど、中学生くらいの頃に近所の鍛冶屋さんに入り浸り、そのまま刀鍛冶職人の技術を身につけて、いろんな人に合わせた最良の刃物を作っている、超おもしろい人である。関さんを見ていると、天職というものがこの世には存在するのだなと思う。淡々と鉄を叩いている関さんの手捌きは見ていて飽きない。

そう、その鍛冶屋さんでいろんな刃物を紹介していただいている時に、発見したのがこの魚捌き用の刃物である。いろんな刃物がある中で、これだ!と思った僕は即購入した。この刃物を使って魚を捌きたいと思った。この冬を越えたらすぐにでも釣りに行くぞと心に誓った。

イワナを捌く

そこから僕の釣り人生の第一章が始まった気がする。釣りをすることで山にひとりで入っていくこともおぼえたし、山の名前もどんどんおぼえていった。山にひとりで入ることは、僕はものすごくたのしいことだと思っているのだけれど、世間ではあんまり推奨されていない。もちろん人と入る楽しみもあるのだけれど、ひとりで入るのはほんとうにいいんですよ。山って入る人によって感じ方が全然違うんですよね。めっちゃ簡単な例で言えば、植物に興味があるのか、虫に興味があるのかで山を見る視点が全然変わってくるし、自分の精神世界に興味がある人もいれば山や川の音を聴きたいって人もいるでしょう。これ、みんなで山に入っていると自分の感情をちょっと殺さないといけないんですよね。立ち止まりたい時に立ち止まれないのはちょっとストレス。なので山は基本的にひとりで歩く。僕はそっちがスタンダードだと思ってます。気の合う仲間と一緒に山に入るのは楽しいですけどね。

そう、話を戻しますが、この魚捌きナイフを買ってから僕の釣り人生は始まりました。道具がなにかのモチベーションになったのって初めてかもなあ。関さんという刀鍛冶の魂を無駄にしたくなかったのか、分からないけれど、2年目からどんどん釣りに行き始めました。そんな僕は今年だけで魚を50匹以上捌きました。釣れる人からしたらまだまだだ〜って言われちゃうけど、僕からすればいい感じで成長しているなーと思っているのでおっけい。まだまだ釣ります。今年は100匹が目標。釣れるかなー。

はい、ということで今日もおしまいです。絵の話あんまりしてないけど、なんとなーく伝わりますよね。それでいいのだ。

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秋田県の阿仁という地域の絵を「狩猟採集民の絵」として載せています。 さっと見ていってください。 6月16日〜7月15日まで、毎日朝7時更新…

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