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何気ない日常を書いても「変人」になってしまうのか、実験してみた

以下は何の事件も起きなかった、名前のない日の記録である。

ひさびさに石ころを蹴りながら歩きました。靴が勢いよく地面に当たるたび、靴底が擦り減るな、と罪悪感を抱きました。私も大人になってしまったみたいです。何も気にせずに石を蹴っていたあの頃に戻りたい。

通勤では同じ道を二度歩かないのが私のポリシー。

Googleが導いてくれた通勤の最短ルートはとっくに制覇してしまったので、毎回大回りしています。

大通りにちんまり出ていたコーヒーの看板。足を踏み入れたことのない路地に入ると、昭和感が漂う小さい喫茶店を見つけました。木製で窓がはめられたドア、ひらひらした軒先テント、近寄るのを躊躇ってしまう薄暗さ。間違いない。その名もコーヒーショップ「司」。初恋の男の子みたいな名前でドキドキしました。ガラス窓から覗いたら、スーツを着たおじさま達が元気に煙草をふかしていました。喫煙可能店なので入れないのが残念です。

ちなみに喫茶店ではロイヤルミルクティとプリンを頼むのが私の定番です。

仕事が終わり、最寄駅から自宅までの帰り道。

昨日はとある駐車場横の、草木が生い茂った細い坂道が異様に気になってしまいました。前に歩いていた女性が大きなくしゃみを連発していて、むっとしたのが原因かもしれません。コンクリートから土に変わっていく坂道を上がり、畑を抜け、足に絡みついてくる蔦を払っていたら、個人宅の庭に出てしまいました。

まるでグリーンサラダのように草木が生い茂ったお宅。私は皿の下に迷い込んだコーン。あらいけない、見つかる前に出よう。付けていたスマホのライトを指で覆い、全力で街灯の方向へ駆けました。幸い見慣れた道に出ることができました。帰宅後に食べた柿はカラカラに乾いた喉をしっとり濡らしてくれました。

毎日が探検の、27歳の、秋の始まり。
明日はどんな道を見つけられるだろう。


歩きながらこんなことを考えている私は、やっぱりちょっと変わっているのかもしれない。

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