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映画の話 としまえん

全編を「としまえん」で撮影したタイトルまんまのショートホラームービー。主演は元48グループの北原里英ちゃん。48グループってこんなかんじのB級ホラー作品によく出るよね。

ストーリーはとしまえんに纏わる都市伝説を実行してしまった仲良し女子グループのメンバーがひとり、またひとりと消えていくというわりとスタンダードなもの。

チープといってはそれまでだけど、こういう映画ってそのチープさも込みで楽しむものだと個人的に思っている。

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作中でのとしまえんの都市伝説とは「古い館のドアを叩いてはいけない」「お化け屋敷で返事をしてはいけない」「ミラーハウスの秘密の鏡を覗いてはいけない」この禁忌を破ると秘密の世界に連れて行かれてしまう。呪いを解くにはメリーゴーランドに乗ること、というもの。この都市伝説がメインのストーリーと思いきや、昔行方不明になったという主人公の幼馴染みの女の子が絡んでくる。


※以下ネタバレ

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友達と呼べる存在が主人公しかいなかったその女の子は、主人公の属する仲良し女子グループに一応は所属していたものの、主人公の目の届かないところでは陰湿なイジメにあっていたようだ。

そのイジメの延長として、ある日としまえんの都市伝説を一人で実行させられたその女の子は呪われてしまい(?)いじめっ子を恨みながら、としまえんで命を落としたようだった。(作中では死亡ではなく行方不明扱い)

この物語のスタートは行方不明になった女の子の母親から主人公がとしまえんの招待チケットを貰うことから始まる。

幼い頃によく2人でとしまえんに行っていたよね、とまだ子供だった頃の2人が映った写真と共に渡されるが主人公は写真を受け取る事を拒んでしまう。奇しくもそれはとしまえんで撮られた写真で、その時に主人公は幼馴染みと交わしていた約束を思い出す。ずっと側にいるという約束を。

結果的にこの幼馴染みの両親も随分前に亡くなっていたんだけど、多分この両親も亡くなった女の子と生前にずっと側にいるという約束をしたんだろうと思う。主人公が貰ったとしまえんのチケットが5人分丁度あったのも、最初から幼馴染みの霊が亡き両親を操って手招きしていたためだと思われる。

物語の終盤、主人公は絶体絶命の危機にさらされるものの一命を取り留める。目が覚めると、そこはどうやらとしまえん内の医務室のようだった。窓の外には人々が楽しそうに歩く姿も見え、何事もなかったかのような光景が広がっている。しかし、主人公がほっとした束の間ドアの隙間から顔を覗かせる幼馴染みの姿があった。


最後まで見て疑問に思うのは、幼馴染は主人公をどうしたかったのか。殺すチャンスをみすみす逃している感が拭えない。

メリーゴーランドに乗ったら助かるっていう話だったけどラストシーンは「秘密の世界」だったのか、はたまた現実の世界にまで幼馴染みの霊がきてしまったのか。

満面の笑顔で主人公を追い詰めたり、思い出の写真をポロっと落としてみたりなんだか可愛い幽霊だったけど、この映画は女子あるあるとでも言うべき既視感があらゆるシーンに散りばめられていてホラーの背景にイジメというリアルな存在がじっとりと感じられる日本的なところが個人的にすき。

作中いじめっ子たちがスピーディーに犠牲になっていく中、主人公の女の子だけは生前の幼馴染みに優しく接していた唯一の存在なのだからきっと助かるのでは?と高を括っていたがそんな優しい話じゃなかった。

ラストシーンの手前、主人公は幼馴染みと最後にした会話を思い出す。常に優しくあった主人公が幼馴染みを冷たく突き放すシーンだ。幼馴染みの女の子は「誰にでもいい顔し過ぎだよ」と主人公を責める。

それに対して主人公は「だって私は誰にでも好かれたいもん」と始めて冷ややかな表情を見せる。この映画で一番怖いシーンは多分ここだと思う。





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