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自らのレイヤーに孔を穿つ

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2020年8月の記事一覧

自閉症の人はなぜ電車が好きなのか(奥平俊六さんの著書より)

自閉症の人はなぜ電車が好きなのか(奥平俊六さんの著書より)

 奥平俊六さんは、自閉症児の託児に数多く携わり、これまでに学童期までの自閉症児をのべ1000人以上みてきた日本絵画史の専門家である。そして二男をレイルマン・ダダとよび「電車好きの明るい自閉症児」と紹介している。奥平さんは、「自閉症の人は電車をみる前から、電車が好きなのである」という。それはなぜか。自閉症の特性と合わせて以下のように論じている。(「自閉症の人はなぜ電車が好きなのか」は、「芸術と福祉―

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コロナ禍で、ひきこもりの専門医斎藤環が探る「多様な感受性、認容性に配慮した繊細さ」

コロナ禍で、ひきこもりの専門医斎藤環が探る「多様な感受性、認容性に配慮した繊細さ」

 精神科医斎藤環が、ひきこもりの専門家ならではの視点で、コロナ禍で生まれた「オンライン」という距離、暴走する正義などを社会が新たに体験している今こそ「個人がもつ感受性、認容性は多様であり、それを・・・もっと繊細な配慮ができる社会に向けて回復していく手順」を探るチャンスだ、として以下のように述べている。(2020年8月1日毎日新聞)

【視点1 対面に潜む暴力。許容度には差がある】
 オンラインでの

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写真家のシャッター

写真家のシャッター

強い衝動、痛み、動かし難い「何か」が身体の中に居座っている。その「何か」が、被写体やまわりの情景の「何か」と共鳴し繋がる。その瞬間に写真家はシャッターを押すのではないか。その「何か」をもっとはっきりとらえるために。若手を含む8人の写真家の言葉から「なぜ写真を撮るのか」をつかみたい。(◎□◆の記号は、参考文献を表し最後に記載)

◎齋藤陽道(1983年生まれ)
作品そのものにフォーカスするのではなく

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ネガティブ思考を突き詰め、新しい迂回路を見つけ出す「ヨシタケシンスケ」の絵本の世界

ネガティブ思考を突き詰め、新しい迂回路を見つけ出す「ヨシタケシンスケ」の絵本の世界

ヨシタケシンスケの絵本は書店に特設コーナーができ、図書館ではすべて「貸出中」なほど。こども目線でネガティブ思考を突き詰めることで、その迂回路を見つけ出す彼ならではの展開は、まさにコロナ禍での閉そく感に寄り添ってくれる。◆「つまんない つまんない」(ヨシタケシンスケ/ブロンズ新社)を突き詰めていく。世界で一番つまらない遊園地を妄想していた時、「面白がっている」自分を発見する。そして大人の世界が「つま

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