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ネガティブ思考を突き詰め、新しい迂回路を見つけ出す「ヨシタケシンスケ」の絵本の世界

ヨシタケシンスケの絵本は書店に特設コーナーができ、図書館ではすべて「貸出中」なほど。こども目線でネガティブ思考を突き詰めることで、その迂回路を見つけ出す彼ならではの展開は、まさにコロナ禍での閉そく感に寄り添ってくれる。◆「つまんない つまんない」(ヨシタケシンスケ/ブロンズ新社)を突き詰めていく。世界で一番つまらない遊園地を妄想していた時、「面白がっている」自分を発見する。そして大人の世界が「つまんなくも 面白くもない」ことに満ちていることも発見する。「おとなランド入口」がポツンとあり、まるで地下におりていくように描かれていている。こどもは、いつからその世界に入ってしまうのか?と疑問を投げかけ、こどもの視点で、その世界は「つまんない」と喝破する。
◆「ころべばいい」(ヨシタケシンスケ/白泉社)では「イヤな気持ち」を突き詰めていく。すると身体の外側に「イヤなもの」が灰色の人形のように貼りついているイメージが絵としてでてくる。次に出てくるのが、おいしいものを食べたり、友達と話したり、いい景色をみたりすると「イヤなもの」がだんだんと剥がれ落ちていく場面。「お風呂に入ったら気持ちもスッキリするように、ネガティブな心は身体的なものとも結び付いている。」と気づく(NHKテレビ「あさイチ」2020.7.31.)。さらに突き詰めていくと、人間の「ためいき」「いかり」「かなしみ」・・・をコインの形にして貯蓄し、大きくなり、友達を操って私に嫌がらせをする悪魔のような「アイツ」が絵本に出現する。「アイツら」がキラいだから、「アイツら」がきっとイヤだとおもうこと・・・鼻歌を歌い、友達と笑い合い、妄想の世界で遊ぶ。

【生活が「つまんなく」なりそうな時の、私の迂回路】
振り返って、読者である私は「つまんなく」なりそうな時、それを迂回するルートを何本もっているだろうか?・・・と自問自答したくなった。迂回路をたくさん持っていれば、それだけ「つまんない」を回避できる。思いついた私の迂回路が20個。その内の半分がコロナ禍で制約を受けていることに驚いた。ヨシタケシンスケが同番組で「わからない部分がうまく抜け落ちていて、想像が広がるモノが好き」といって、面白さの発見方法を教えてくれたように、彼の絵本は、コロナ禍で制約された迂回路とは別のルートを探す、そのキッカケを提示してくれているのでは、と思う。

■コロナ禍で制約されている迂回路
☑現代美術をみにいく。
☑コンサートにいく。
☑気に入った映画館でみたい映画を見る。
☑家族で一泊旅行(ハイキング、温泉つき)にいく。
☑家族がいないとき、家の模様替えをする。(みんなが在宅勤務中なので不可)
☑家族で年2回~3回、決まったレストランで食事する。
☑年2回程度、仕事現場の同窓会等、気の合った友達との飲み会。
☑年2回程度の大学OBの研究会と飲み会。
☑マンションの年中行事(花火大会見物、餅つきなど)、月一の総会
☑バーゲンに合わせ服を新調する。
■コロナ禍で、より明確になった迂回路
◎夕焼けをみながら妻と自転車で川べりを走る。
◎おいしいパン屋さんで、メロンパンを買う。
◎好きな本(心理療法家 河合隼雄の本)を読む
◎図書館に本を予約し取りに行く。
◎壁打ちテニスと昼寝。
◎来年に向けて構想する仕事。
◎note.muで自分の中の何かを解放する。
■特別に企画した迂回路(に参加)
◎面識あるプロのピアニストを招いてハウスコンサート。
・上記の曲選び、CD等での予習、準備は至福の時間。
■「つまんない」気持ちが吹っ切れない、中途半端な迂回路
△テレビのいわゆる勧善懲悪もの(刑事もの、犯罪捜査もの、時代劇)を見てしまう。
△通巻でマンガを読む。

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