【DTMクラシック】フンメル/アレルヤ・ソナタ(ピアノソナタ第2番,Op.13)
第一楽章 Allegro con brio
ベートーヴェンが「ワルトシュタイン」(1803)や「熱情」(1805)といったソナタを発表していた同時期、1805年に出版されたフンメルのピアノソナタの第2番は「アレルヤ・ソナタ」と呼ばれることがあります。
それは第1楽章(Allegro con brio)変ホ長調のテーマがグレゴリオ聖歌の「アレルヤ」のメロディーを取り入れられているところから、とされています。ただし私はグレゴリオ聖歌を全部聞いたことがないので、どの部分なのかは解っていません。
冒頭のファンファーレで幕開けすると対位法的手法でアレルヤのテーマが奏でられます。
しかしそれはすぐにシンフォニックな和音の行進曲へと変化します。このあたりまで聞くと、ロココではない古典派の交響曲のような雰囲気をまとっています。ちょっと異なりますが、個人的にはこのソナタの冒頭を聞くとモーツァルトのハフナー交響曲の類似性を感じます。左手のスタッカート伴奏にメロディーが乗っている感じがハフナー交響曲の第一楽章に出てくるモチーフにそっくりです。
第2主題になると変ロ長調の優雅で歌うような旋律が現れ、落ち着きと安らぎをもたらします。そのメロディーを三連符で彩どりながら発展させていき一旦完全終止となります。主部が繰り返された後に冒頭のファンファーレを転調させながら展開部に突入しますが、すぐに第1主題のアレルヤのテーマが少しだけ現れるとシンフォニックな和音と行進曲的な部分が複雑に交差しながら、冒頭のファンファーレも変形して絡み合い、混沌とした世界観にひきづりこまれていき、音のシャワーに溺れそうになった時に再びアレルヤのテーマが現れ救われた気分になります。
同時期のベートーヴェンの感情に訴えかけてくるものとは種類がことなり、隙間なく空間を埋め尽くした音が脳の感覚に浴びせてくる感じ(表現が浮かびません)。ひとことで言うと「明るく煌びやかなブラプーラ奏法のソナタ」となるでしょうか。。。
第二楽章 Adagio con gran espressione
第2楽章(Adagio con gran espressione)変ロ長調 2/4。表現豊かなアダージョという意味ですが、そのタイトル通り冒頭のアルペジオの4つの和音が幻想的な雰囲気を打ち出していきます。このアルペジオが繰り返されながら転調していき、経過部が短調繋がれているため、聴く者を不安な気持ちにさせていきます。そしてこの楽章のメインの性格ともいえる「ドン・ジョヴァンニ」の序曲のイントロにも出てくる決闘のシーンの音楽にも似た、不安感が上昇していくパッセージが非常に感情に訴えかけてきます。これ、長調と短調を行き来するモーツァルトの音楽とロマン派の情熱が交差した新しい(当時)音楽ですよね。
第三楽章 Allegro con spirito
第3楽章(Allegro con spirito)は変ホ長調に戻ってのロンドソナタ、4/4。
ハイドンのソナタや交響曲フィナーレに類似している冒頭のテーマ。そこからとんでもないスピード感あふれるアルペジオと鍵盤を叩くかのようなリズムを繰り返しながら、目まぐるしく曲が展開していきます。第2主題はちょっと落ち着きを取り戻しますが、この部分を聞いているともはやベートーヴェンを聞いていかのようです。
録音されているこの曲の実演では、ゆっくり目に演奏しているものと速く疾走していくものとありますが、私は速いテンポで設定しました。イアン・ホブソンとコスタンティーノ・マストロプリミアーノの演奏を参考にしています。
それにしても当時これを生演奏で聞いたらたまげただろうと思われます。若きフンメルの演奏技術を駆使した意欲作と言えます。
クレジット
Programming Music
Johann Nepomuk Hummel
Piano Sonata No.2 in E-flat,Op.13”Alleluia”
Computer Programming : Hummel Note
Programed by Muse Score4
Sound:Muse Score4 & MuseSounds Grand Piano
Re-Edit Mix & Matering:SSW10 Lite