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属性と偏見にまつわる小話

私が大卒だということをどこかで知った女性が
「学歴なんて関係ないですよね」
と、私に笑顔を向ける時、その目に宿る強いエネルギーは鋭い。
大卒への根深い敵意だと感じる。

私がFラン大卒だということを知っている友人(当時)が
自身は国公立大卒で、私と一緒に本屋で散策しているときに言った。
「あなたのレベルだとこの手は読めないと思うけど」と。
Fラン大卒への侮蔑のエネルギーはどす黒かった。

仕事中に英語話者のお客様とのやり取りで困っている同僚に
私がつたない英語で助け舟を出した。
彼はその後こう言い捨てた。
「僕、こう見えて外大卒なんで。」
と。苛立ち紛れに吐き捨てるような言い方だった。
助けたのに失礼だなと思ったと共に、体の血が沸騰するような怒りが湧いた。

私は2人姉妹の妹なのだが、
以前いた職場に、自分が姉で、妹がいる女性の中に1人、聞こえよがしにこう言う人がいた。
「妹ってほんと嫌」と。
私のことを言ってるんじゃないんだろうなとすっとぼけて
気づかない振りをするのも慣れたものだ。
私への当てつけなのは気づいているけれど。

働きながら家では子育てをしてお母さんもしている女性から
「授乳の苦しみってわからないでしょうね、私にはわかるので」
という話をされた時に感じた違和感。
事実、わからないけれど、伝え方のニュアンスと普段からのやりとりで
私にマウントしているのかと感じた。
それを彼女に伝えると
「そんな意地悪な捉え方されて残念」
という回答が返ってきた。
後から知ったのだが、
私の周りの女性に文乃さんは子供がいないことがコンプレックスだから子供の話は控えるよう言いふらしていたようだ。

妊活してやっと子供ができた先輩が育休に入るにあたり、
私の業務が増えることになった。業務が増えたが給与は変わらなかった。
妊娠はとてもおめでたいし、そうお伝えした。
ただ、多重業務がしんどいということを、他の女性に伝えると
「結婚できない女性、子供がいない女性のひがみ」
と言われて、多重業務の話に既婚とか独身とか関係ないだろうにと、涙が出るほど悔しかったこと。

その場で否定しても、「いやいやひがみでしょ」でうすら笑いであしらわれてしまう。

その職場を退職した日、母親に電話で報告すると
「つきちゃんよくがんばりました。でもつきちゃんは仕事は辞められても、世の母親は子育てや介護は逃げられないからね。」と言われて、胸が苦しかったこと。

この件に関して、民間のカウンセラーの女性に相談したら
その女性は子育て経験があったためこう言った。
「私だって独身女性に主婦は楽でいいわよねって言われてムカついたことあったわよ」
と。私はこう言った。
「私は主婦の人にそんなこと絶対言いません。思ったことがないので。
その独身女性はひどいですね。」と。

結局のところ、
大卒だから、高卒だから、短大卒だから、専門学校卒だから、
姉だから、妹だから、男だから、女だから、母だから、既婚だから、独身だから、
子どもがいるからいないから、○○人、性的嗜好、職業、会社、などという属性で人に敵意を向ける、あるいは崇めたてる、人の性格を判断するのは相手に失礼だからやめてほしいなということだ。

属性はある程度人の判断材料にはなるのだろうけれど、
ある程度親しくなったあとは、その属性だからあの人はこうなんだ、とそういう目で相手を見るのは偏見でしかないと思う。

偏見は誰しもある。
「私は偏見がない」と言う人ほど怪しいと思うくらいだ。

けれど、ある程度親しくなった相手には偏見の目をだんだんゆるめて、
その人自身を感じ取りゆっくり仲良くなっていけたらいいのに、と思う。

まあ、きっと、こういう考えはおままごとでナイーブで世間知らずなんだろうなって思うんですけどね。

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