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ご安全に

会社の研修で、今までに聞いたことのない日本語に出会いました。
業界用語というのでしょうか。
発した人の真摯な態度と、生命に対する愛を感じる、美しい言葉だと思います。

メーカーだから安全が第一。
女性社員にはヒールも禁止するほどの徹底ぶりだから、このような言葉を用いるのも自然なことのようです。
一度聞いたら、忘れられないほど惹かれました。

言葉にはっきりと意味があり、挨拶に使われる。
心のこもっていない挨拶を数多く聞いてきて、
ほとほと嫌気が差していたところに、
あまりに率直で愛のある言葉に出会えたからかもしれません。

そこに心がないと思う挨拶の筆頭は「ありがとう」。
相手の真剣な話を受け取りたくないときに、
話を終わらせるために使われています。
デマンドウィズドローと言われる行為だそうです。
以前、前職の元上司や知り合いに、悉くこれをされてしまいました。
「ありがとう」という言葉で、話し合いを有耶無耶にされる。
私は「ありがとう」が嫌いになってしまいました。
「ありがとう」自体には意味がなくて、向き合いたくない時、
逃げる時、話を打ち切る時に使う言葉。
意味をなくした言葉は、無視と等しくて、
腹立たしい経験が言葉自体の印象も信頼も崩してしまいました。

「ご安全に」は、それと正反対の、とても信頼できる言葉だと思います。
そこに意味があり、人の命を思いやる愛を感じるから。
さよならの挨拶で使う「お元気で」に近い意味だと思います。
でも、「お元気で」だと、もうずっと会わない感じで使いづらいので、もっと気軽に相手のことを思いやれる挨拶があればいいのにと常々感じていました。
「ご安全に」はそれに相当すると思います。

日本語は、ただ挨拶をするだけなのに、
何かネガティブなものを感じることが多いです。

「お疲れ様」とか「ご苦労様」とか、どうしてそんなにマイナス思考なのだろうとか。
「頑張って」とか「無理しないで」とか、どうして無理すること前提なのだろうとか。
「気をつけて」とか、気をつけないと何かあるのかと思ってビクビクしてしまいます。

「ご安全に」には、否定的なところがなくて、言霊としても良さそうです。
もっと広まってくれたらと、密かに願っています。


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