誰が「橋下徹」をつくったか の感想
誰が「橋下徹」をつくったか
-大阪都構想とメディアの迷走
松本創氏著
読後の感想です。
何がこの本のイメージ画像にピッタリなのか
私は書きたいことが決まったら、まずイメージ画像を選びます。そしてその画像の雰囲気から大きく外れないように文章を書いていきます。
なんでかと言うと、とかくダラダラ書いてしまう癖があるからです
で、今回画像をアレコレ探していて、なかなかこれというのが見つからなくて最終的に良いなと思ったのがこの記事で使っている3枚。いずれも検索ワード「アピール」で探したものになります。
なるほど 私の中の橋下徹氏を表現するものは「アピール」なわけだ、と超納得。
とは言え、本書は橋下徹氏を揶揄するものではなく、むしろ そこに至るまでのメディアの責任を問うような内容になっています。
まずは府知事就任後の橋本氏の経歴の紹介から始まります。「ちちんぷいぷい」の「今日の橋下さん」、平松氏との討論番組、メディアへの攻撃、メディア自らの自主抑制の雰囲気、元慰安婦だった方に関する一連のもめ事など
当時を知る人、特に大阪の人は、かなり懐かしく感じる場面も多いのではないでしょうか。
そして
・常に敵を作る
・攻撃的な言葉を使う
・切り取りやすいフレーズを使う
・わかりやすいキャッチコピーを繰り返す
・レッテルを貼る
・どう見られているかを常に意識する
という橋下氏のやり方。
テレビ業界をよく知る橋下氏は、編集なしで8秒の間に言いたいことを収めるようにしていたそうです。
メディアはそれを電波に乗せさえすればいい。それこそが世間の求めるものだし、つまり「数字」を稼ぐための方法でした。
そこには政権と世論の両方に忖度したメディアの姿があります。世間が喜ぶような よりわかりやすくセンセーショナルなものを報じる。シンプルに1つのことを皆で報じ多方向からは報じない。空気を読み権力者が問われたくないような質問はしない。
何かと横並びで行動しがちな日本人は出る杭を嫌い、むしろはみ出したところを攻撃していく方向に流れていきます。
朝日新聞と既得権益
この本の中で、意外と すとんと腑に落ちた部分が橋下氏と朝日新聞の確執を描いた部分です。
つまり。橋下氏にとっての既得権益は朝日新聞的なものであり、彼の敵は朝日新聞的なものだということが書かれていました。
それなのか、と。
言論の自由を言いながら、既得権益と戦う体を装い、実は自ら安全で保障されたところにいて「リベラル的言論の自由に寄り添う大手メディア」「きれいな顔をしてきれいごとをいう」「言論という暴力を独占している」のが朝日新聞なのだと。
SNSで朝日新聞がやたら攻撃される理由の一部が見えたような気がしました。
大阪府の未来、日本の未来
作者は「メディアが検証し、ジャーナリズムの精神を取り戻さなければ、橋下的なるものは何度でも生まれてくる」と警鐘を鳴らしています。
橋下徹氏を取り巻くメディアの在り様は、今の政権与党を取り巻く様子にも似ています。
自分の意思で情報を選び、本を読み、考え、議論しなければ取りかえしのつかない場所にいってしまうかもしれない、という恐ろしい時代に来ているような気がして、わが子の未来が心配な日々です。
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