噺のはなし〜芝浜と文七元結〜
芝浜も文七元結も「再生」を描いたお話ですけど、しくじった元が違います。
芝浜はお酒。
文七は博打。
いわゆる三道楽の内の二つです。ちなみにもう一つは、買うで女。買うでしくじる噺は「子別れ」です。
僕の芝浜で言えば、酒が好きな勝五郎は河岸に行かなくなって三ヶ月から四ヶ月経ってます。良くもまあこんな長く休んだもんだし、妻も我慢したと思います。
文七に出てくる左官の長兵衛は、身ぐるみ剥がされて、法被を借りるほどにすってんてんになっている。
二人ともとんでもないのめり込みようですw
現実においてここまで破滅してしまっている人を見た事はないので、この二人を演じるときは結構ワクワクします。自分で破滅型の人間を作り上げるわけですからね。
そんな二人は家族に助けられるわけです。芝浜は妻。妻がお金が拾ったことを夢で押し通したことで、勝五郎はなんとか自分を取り戻す。
文七元結は娘。お久が吉原へ身を売って、そこのおかみさんに説教されてやっと改心する。
馬鹿だなあと思いますけど、三道楽というのは煩悩ですからね。昔は本当にそれぐらいのめり込んだら危ないものだったんでしょう。
多分この三道楽ってのは今はもう違っていて、誘惑になるものはもっと沢山あるし人によって違うと思います。いわゆる依存性ってやつで、何かまた違ったものに狂った男の噺が出来上がるでしょう。
やる方も聴く方も、そういうものに置き換えていけば、良い空間になるでしょうね。
落語について、また過去の思い出等を書かせて頂いて、落語の世界に少しでも興味を持ってもらえるような記事を目指しております。もしよろしければサポートお願いいたします。