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落語家の上下関係は全て入門した順に決まる

東京の落語家には階級があります。前座、二つ目、真打。実際は前座になる前に、前座見習いというのがあります。落語協会に所属する落語家は二つ目からが協会員とみなされるので、前座まではまだ落語家じゃないのかもしれないですね。

落語家は先輩のことを「兄さん」「姉さん」と言います。言い方は「アニさん、ネエさん」です。大阪は「ニイさん、ネエさん」だと思います。ただ、これは相手が二つ目という階級にいる場合です。真打の方には「師匠」と言います。

これは全て、入門した瞬間に決まります。例えば、自分が入門した時に、A=前座、B=二つ目、C=真打。という具合に先輩方がいるとすると、A、Bは「兄さん」か「姉さん」、Cには男女問わず「師匠」と言います。この関係は、一生変わりません。A、Bが真打になったら急に「師匠」というわけではありません。ずっと「兄さん」「姉さん」のままです。

それともう一つ、落語家には香盤というのがあって、これがつまり入門した順のようなものを表す基準です。「のようなもの」という言い方をしたのは、香盤の順番が入れ替わることがあるからです。これは「抜擢で真打」になった時です。真打になるタイミングで更新されます。6人抜きってことになると、先輩6人分の香盤を飛び越えて名簿などに名前が書かれます。

だけど、ここで重要なことが「名前だけは上に言っても、上下関係の逆転はない。」ということです。相撲の世界だとかは、階級が全てだと聞きます。入門が先でも、階級が上がると偉くなると聞いたことがありますが、落語会はそれはありません。全て入った順です。先輩後輩が入れ替わることはありません。あくまで、香盤の上でのことです。

これはまあ結構重要なんですよ。例えば、楽屋で前座がお茶を出す時。これは先輩から順に出していきます。香盤の順で出すと、しくじる時があります。

そこで役に立つのが東京かわら版が数年に一度出している『東都寄席演芸家名鑑』です。

芸人の写真とプロフィールが書いてあります。そこに「入門年」という項目があり、そこにS60.3なんて書いてある。昭和60年3月に入門だなってのがこれでわかるんですね。だから、前座の頃はこの名鑑を片手に仕事をします。ずっとじゃないですけどね、初めの頃はです。

よくやりがちなしくじりが、見た目で出して失敗するってやつですね。二人真打の方が居たとして、老け具合でこっちの方が先輩だろうって出すと、後輩だったりしますw

初めの頃これでよくしくじってました。

もし、名鑑を持っている方はこの入門と真打昇進した項目を見比べてみてはどうでしょうか?

裏の順番がわかるはずです。

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