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修行中の外出は至福の時

修行中なにが大変ってやっぱりずっと師匠の家にいる事でしたね。

今みんな外出自粛をしてその大変さがよくわかると思います。

見習いをしていて、最初の半年間は常に師匠の家に居て朝から晩まで掃除やら雑用をこなすんです。

三日で飽きますよ普通なら。落語のお稽古ったって、小噺しか教わってないからすぐに終わっちゃうし、そもそも稽古する時間はないんですね。

家に帰っても夜中なんで寝るだけ。というよりそこから遊んだりするような心と身体の余裕がなかったんです。

そんな修行中唯一息抜き出来る瞬間があります。それはお使いを頼まれて外出する時です。

近いところで言えば、近所の薬局やスーパーいなげやに始まり、遠いお使いだと川口の着物屋さんだったり松戸だったり。

おかみさんに「お使いが早い子は出世する」と言われていたので、特に近いお使い。買い物は急いで行きましたけど、この松戸や川口は時間をかけて行っていました。

別になにをする訳でもなく、ただ公園のベンチで休んだりするだけなんですけど、その時間がなんとも心休まる瞬間だったんですね。

僕は競馬(少し)以外のギャンブルはやらないので、もしパチンコなんかが好きだったら、そこで行っちゃったりしたでしょうね。そういうのがないから本当にただぼーっと過ごしてました。

今あんまりやらないですよね。ぼーっとする。

二つ目になったら、二つ目になったらっていっぱい思いを巡らせていたんだと思います。だと思うってのはそれぐらい当時の記憶って曖昧で、覚えているのはただ疲れているってことなんです。疲れているのだけははっきり覚えています。

お使いではないですけど、師匠の御子息二人(ここはあえて)にも良く付き合いました。兄の現たま平くんは僕が入門した時6年生。夏休みの宿題で、近所のことを調べてこいってのがあって、二人で近所を周りました。根岸界隈は上野公園まで足をのばせば名所がたくさんありますからね。神社やら名所の写真をインスタントカメラにおさめて来るんですけど、僕がふざけて自撮りの変顔のドアップを一枚撮ってたら、数日後現像されたのを見たおかみさんに怒られましたっけ。

弟の今師匠のとこで落語家見習いをやっている方は、僕が入った時に小学3年か4年。その頃少年野球を始めた頃でよく隅田川の河川敷の練習やら試合やらに行きました。夏休みは隅田リバーサイドの区民プールに行ったり、お台場の博物館に行ったり、色々出かけましたね。夏は師匠が大体トリを取っていて、昼間は子供たちと過ごして、それ以外は師匠のお供をして、見習いの時はこの7、8月が一番きつかったのを覚えています。

今は良い思い出になりましたが、その時はただひたすら毎日早く過ぎ去れと思っていましたっけ。

こんなことが4年半(寄席に行くようになるといくらか楽になる)これから続くわけなので、二つ目になった時の嬉しさったら無いですね。

寄席通いの日々についてはまた。

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