冬を選んで咲く花もある〜文化庁芸術祭賞優秀賞受賞のはなし〜
この度、令和4年度(第77回)文化庁芸術祭賞 優秀賞(大衆芸能部門)を頂きました。まずは支えてくださったお客様に感謝いたします。同業の方も驚いたでしょうけど、何を隠そう私自身が一番驚いています。二つ目時代、たくさんのコンクールに出場しましたが、そのどれにも引っ掛かることなく、真打になりました。私はこの芸術祭をライフワークと考えて、毎年参加しようと決めていました。なので、まさか真打一年目で頂けるとは思ってもいなかったので、いまだに信じられないくらい驚いています。それと同時に思い出すのは、孤独な勉強会の日々と大ネタに挑んだ独演会の高座たちでした。喋れども喋れども、落語の壁にぶつかったあの日々が報われたのかなと思っています。
今回受賞させて頂いた落語会は、今年の10月に開催した「第一回 ハヤシにのって〜林家はな平独演会」です。会のタイトル、コンセプト、会場選び、番組、鳴り物等、出来うる限りこだわって作り上げた会で、自分の中ではどこにも妥協することなく作り上げた会です。そこをどう評価して頂けたかは分かりませんが、自分の現在の持てる力全てを注いだ落語会で受賞出来たことは本当に嬉しい限りです。また、この会の制作に関わってくださったおかめ家さん(令和鹿芝居の制作も担当)にもお礼申し上げます。
私のちょっと先輩も、ちょっと後輩もどんどん結果を出していく事に焦りは感じながら、「僕もいつか咲いてやる」と腐らずにやって来て本当に良かったです。お客様や主催者の方に「良くなったよ」と言われても、本当の意味でその成果を見せられなかったので、今回それを形に出来て嬉しいです。コロナ禍になって、円朝作の連続ものの怪談をやったり、鹿芝居、YouTubeなど、目の前の高座に直接結び付かないことをあえて選んでやって来た事が、こういう形で跳ね返って来たっていうのは、自分の選んだ道が間違っていなかったんだとホッとしています。
これからも奇をてらわず、はじめての方にも楽しい、気持ちの良い高座を目指して、精進して参ります。
重ねて、日頃ご贔屓にしてくださるお客様、関係者の皆さまに感謝申し上げます。
最後に、私が今年一年ずっと、自分を鼓舞する為に聴いていた曲を紹介します。
新しい人へ 海援隊
※歌詞の中の「冬を選んで咲く花もある」というのを自分に重ねて鼓舞していました。
落語について、また過去の思い出等を書かせて頂いて、落語の世界に少しでも興味を持ってもらえるような記事を目指しております。もしよろしければサポートお願いいたします。