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管理職の基本⑩

■問題社員への具体的対応

(1)パワハラ認定を防ぐ
 
①パワハラとは
パワー・ハラスメント(パワハラ)とは、嫌がらせのうち、職務上の地位や立場など、職場における優位性に基づくものを言います。
例えば、上司が部下に明らかに処理しきれない量の仕事を命じるなど、役職等の上位の者が下位の者に対して行うのが一般的です。
また、職場内で仲間はずれにするなど、同僚が同僚に対して行う場合や、部下が上司に対して行う場合もあります。
また、管理職社員が特に注意すべき点として、部下に対する指導や注意、叱責は、行き過ぎるとパワハラになり得るということがあります。
これらの行為は、管理職の重要な職務の1つですが、これらに伴って、部下の人格を否定するような、暴行や暴言、プライバシーの侵害などを行うと、パワハラとされる可能性が高いと言えます。


②留意すべき内容
 
◆厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」(平成24年)によると、次のとおり、職場のパワー・ハラスメントの行為類型を挙げています。

(2)記憶より記録(エビデンスを残す)
 
①指導記録を作成
問題社員への指導記録を作成します。
5W1H(いつ・どこで・だれが・何を・なぜ・どのように)を明確にした記録を作成し、エビデンス(証拠)として保管します。
 
②1on1ミーティングは記録係を同席させる(証人)
1on1ミーティングにおいても問題社員の同意を得てから(同意書を取得)記録係を証人として同席させます。

(3)指示・命令は書面で伝達
①仕事発注シートの活用(仕事発注の5W2H)
問題社員への指示を徹底させるためのツールとして、「仕事発注シート」を活用します。これは、仕事をアウトソーシングする要領で5W2Hを明確にした発注書面を作成し、問題社員に手渡します。
指示内容を「見える化」して記録に残すことで、「聞いていない」・「メモをしていない」等の言い訳やヒューマンエラー(人的ミス)の防止とマネジメントをサポートする役割をもたせます。

⦿質疑応答の準備
仕事発注シートを作成し、具体的な指示を出した後に、質疑応答の時間を取ります。
そのために、想定される質問に対する下調べ等の準備をしておきます。

問題社員に対する仕事の伝達は、「仕事発注シート」等の書面による伝達方法を採用します。
手順としては「仕事発注シート」等の具体的な指示内容が記載された書面を相手に手渡し、その内容を説明することで伝達します。
 
⦿伝達内容の理解度を確認
伝達内容に関する相手の理解度を確認します。
まず、最初に質疑応答の時間を取り、相手の疑問点の解消をはかります。
次に、重要なポイントを復唱させ、伝達者から質問を投げかけて的確に回答できるかを確認します。
ここでの確認を怠ると正確な伝達ができていない可能性もあり、結果として伝達が失敗に終わるリスクがあります。

②伝達後の中間確認
⦿失念防止確認、納期厳守確認、進捗状況確認
指示事項を伝達したら、そのまま放置してはいけません。
必ず適切なタイミングでの確認作業が必要です。
代表的な確認は次の3つになります。
 
イ)失念防止確認
指示事項を伝達してから2日以上報・連・相(報告・連絡・相談)が無く、着手している様子がない場合には、伝達者の方から失念防止を目的とした確認をします。
具体的には、「指示した件、大丈夫ですか?」と単刀直入に確認します。
 
ロ)納期厳守確認
指示事項に厳守すべき納期がある場合には、伝達してから3日後・1週間後等のタイミングで納期を厳守できるかを確認します。
重要なのは納期を厳守できない可能性が判明したら、すぐに応援要員を確保する等の対策を打てるように、余裕をもったタイミングで確認をすることです。
 
ハ)進捗状況確認
指示事項を伝達したら、定期的に進捗状況の確認をします。
本来、部下には報告義務がありますから、定期的なタイミングで報告をするように指導することが重要です。
一定のルール(毎日・3日おき・毎週・月1回等)を決めておくのも効果があります。
それでも、報告を怠る場合には、伝達者の方から進捗状況の確認をし、定期的に報告することが義務であることを指導します。

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