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今、注目されている「経営分析5つのキーワード」⑤

5.EBITDA(利払前・税引前・償却前利益)とは何か?

(1)用語の説明
EBITDAの読み方は一般的に「イービットダー」「イービットディーエー」と呼ばれています。
「営業利益」や「経常利益」と並んで、企業を評価する指標のひとつです。
とくに営業拠点を日本以外におく企業や、グローバル企業の評価をする際にEBITDAは欠かせません。

【EBITDAの計算方法】
EBITDA = 営業利益 +減価償却費

(2)注目されている背景
EBITDAが注目される理由は次のとおりです。

①グローバル企業の収益力を比較できる
EBITDAは、グローバル企業の業績や多国間、同業他社間の業績を比較・分析する際に用いられる指標です。
企業の収益力を見るだけであれば、当期純利益を指標にすればよいですが、当期純利益は税金、支払利息、減価償却費が差し引かれています。
グローバル視点で企業分析する際に、国によって金利水準、税率、減価償却方法などが違うことから、当期純利益は異なる国の企業、多国間などの比較や分析には向いていません。
その点、EBITDAは各国の税制や税率、金利水準などの影響を最小限に抑えられるため、企業の収益力を測る指標として活用されます。

②減価償却費の影響を受けず、中長期的な視点での企業価値評価が可能
EBITDAは、減価償却費を含んでいるのでそこでの利益の増減は発生せず、実質的な利益を算出できます。これにより、中長期的な視点で企業価値を評価することが可能になります。
たとえば、通信事業等、大規模な設備投資が必要な業種は、先行投資として巨額の費用が必要になります。
このような業種では、大規模な設備投資をしたあとの数年間は、減価償却費も多額に計上される傾向があります。
そのため、減価償却費の金額が大きい年は営業利益が減り、逆に年数が経って減価償却費の金額が小さくなると営業利益が増える、という仕組みになっています。
つまり、営業利益だけで比較をすると、減価償却費の多い年か、少ない年かに影響を受けてしまいます。

(3)留意ポイント
EBITDAは「営業利益+減価償却費」で計算され、減価償却費は「設備投資」を数年間に分割して経費として計上するものです。
つまり、ここでの「減価償却費」は将来利益を生み出すための投資と解釈することができます。
しかし、現実には「設備投資」には利益を生み出すために行ったが、結果的には過剰な設備投資となり、損失となるものもあります。
EBITDAでは、これを認識することができません。
過剰な設備投資をすると、一般的に、売り上げに対する減価償却費の比率が大きくなります。
投資が数年後、必ずしも価値を生むとは限らない点がEBITDAの問題点とされています。

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