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“自分” “みんな”  そして "give"

Stay Homeな毎日が始まって、1カ月近く。外出するのは、ス#ーパーに買い物にいく時と、家のそばで子どもたちとバドミントンやキャッチボールをする時ぐらいで、ちゃんとStay Homeしています。

そんな毎日を過ごしているうちになぜか、ベランダで野菜を育てようかな、なんて気になってきたのはきっと私だけではないはず。外に出ない生活をしていると、自然に触れたくなるのかもしれません。

ちょうどそんなタイミングで目に飛び込んできたのが、渋谷からアーバンファーミング(都市農業)を発信している「Urban Farmers Club」 のSNSの投稿でした。

「オーガニックコットンの種と土、野菜の種をお分けします」

早速、渋谷ストリーム近くの”畑”に取りに行って、代表の小倉さんに教えてもらいながらオーガニックコットンの種を植え、野菜の種を頂いてきました。

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実は今、トートバッグ型のコンポストで堆肥を作りはじめたので

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早く種が植えられるように、毎日せっせと生ゴミを混ぜ込んで堆肥を作っています。

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堆肥が完成する頃に、オーガニックコットンも鉢に植えられるといいなーと思いながら。


さて、NPO法人Urban Farmers Club(以下、UFC)の話に戻ります。

出会いは今年の春、Mo:take Magazine の 取材でした。代表の小倉さんにインタビューさせてもらい、3回に渡って掲載したのですが、その中ですごく印象に残っていることがありました。

それは、小さくても“自分の”区画を借りて畑を作る市民農園やレンタル畑と違い、Urban Farmes Clubの渋谷や恵比寿にある小さな区画は、年会費1,000円を払って会員となった“みんな”のもの。約400人ものメンバーの共有スペースなのです。

食べ頃の野菜が出てくれば、畑のお世話係をしている人たちのグループスレッドに情報が流れるので、食べたい人が自由に取りに行ったり、UFCのイベントの時にみんなで食べたりしているそうです。

その話を聞いた時に、疑問が浮かんできました。

「これは私が撒いた種」「今回は僕がほとんどお世話をした」「みんなに分けたら自分で食べる分がなくなってしまう」ーー そんな風に考える人はいないのだろうかと。

すると、小倉さんは言いました。

今は都会でも、畑を区画ごとに分けて月10万円とかで貸す「シェアファーム」みたいなものが広がっています。でもそれって結局、タワーマンションを買っているのと同じ発想だと思っています。「この区画は俺のもの。だから隣の区画のことは知らない」「自分さえ良ければいい」という発想ですね。
でもそれは、UFCで僕たちがやりたいこととは真逆です。メンバーにはいつも「どんなに小さなものでも、自分のものって言わないで。みんなのものだからね」と伝えています。
もちろん最初は「これは私が種を撒いたものだから」という人もいますが、「ここはみんなで育て方を学び合い、種が出来たら自宅で育て、その種をさらに広げていくための場だから」と話すと、ちゃんとわかってくれます。

「自分が」「自分の」という意識が強い現代社会の中で、「みんな」が主語になり、目的語になっているコミュニティ。これって本当にすごいことだし、今の私たちに本当に必要なことだと今、あらためて感じています。

取材させてもらった1月下旬は、まだ日本ではそこまで新型コロナウイルスに対する警戒心は強くありませんでした。そして記事が掲載された3月初旬ごろには、スーパーからペーパー類やレトルト食品、保存食品が消える“買い占め”が起き始めました。

買い占めれば、当然、買えない人が出てくる。そこには、「みんなで分かち合う」ではなく、「自分さえ良ければ」という意識が、多かれ少なかれあるわけです。


私がヨガを学んでいるインド人の師、マスター・スダカーから最初に学んだのは「give」でした。

差し出す。自分がいらないものを差し出すのではなく、自分が大好きなもの、自分にも必要なものを差し出すこと。自分が豊かな時だけ差し出すのではなく、自分が苦しい時にも差し出すこと。それこそが、本当の「give」であると教わりました。しかも、いやいや差し出すのではなく、喜んで、愛を持って差し出すこと。

UFCの活動に参加している人は、みんなで共有することの喜びを知りはじめ、そして、自分で独占するよりも、「どうぞ」と差し出す喜びの大きさを知っていくのでしょう。

それこそが、「よし、我が家の分は3カ月分確保した」という刹那的な喜びではなく、魂で感じる本当の喜びなんだと思います。


ガーデニングにほとんど興味がなかった私が、UFCのFBページの投稿を見て種をもらいにいこう、と思ったのは、UFCの活動の根幹にある小倉さんの考え方に共感し、尊敬し、少しでも活動に参画したいなと思ったから。そして、そんな生き方ができる人間になっていこうと思ったから。

少しでも子どもに、そんな生き方を背中で見せられるように、進んでいきたい。



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