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【Humanize Voice ~ よしつぐの独り言…】  <バックナンバー 2019年4月-6月>


2019年4月から6月のバックナンバーです!

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便利であることが本当に便利であるのか? 
<ヒューマナイズ通信 2019.06.19掲載 一部修正>

 先日、『社会変革のためのシステム思考実践ガイド』の著者、デイヴィッド・ピーター・ストロー氏の来日記念シンポジウムに参加しました。
 シンポジウムのテーマは、「社会変革に向けて共に解決策を見出し、コレクティブ・インパクトを創造する方法」という難しいテーマでしたが、わかりやすい内容でした。わかりやすいって、大切ですね(笑)

 参考になる話題はたくさんありましたが、一番印象に残ったのは「どのように自分が問題の一部であるかに気づいてなければ、解決策の一部になることはできない」という内容でした。

 身近なことでも、問題や困ったことがあれば解決する行動をとりますが、対処療法的な行動であればあるほど、一時的に問題のレベルは下がっても、時間の経過と共に問題が大きくなるようなことも起こります。
 善かれと思って始めた解決策が、問題を悪化させることもあります。やればやるほど、さらにやらなくてはならない事態を招くこともあります。人でも組織でも、解決しようと思って参加した瞬間に、良くも悪くも問題に影響を与える存在になっているという感覚が必要だと改めて感じました。

 少し話は変わりますが、一昨年から保育園の経営に関わる機会ができました。利用者を増やすためには、当然保育体制やサービスを充実させることが求められます。保育体制やサービスを充実することで、利用者や利用時間は増えますが、その一方で保育園で預かる時間が増えれば増えるほど、親子で過ごす時間は減ることになります。
 ただ単純に親子で過ごす時間が長ければいいとは思いませんが、それでも親子で過ごす時間が減ることで発生するメリット・デメリットは考える必要があると思います。保育園で預かっている時間(場面)と同時に、それ以外の時間(場面)のことも考慮する必要があると感じています。

 ただ単に利用者を増やすために保育体制やサービスを考えるだけでなく、もっと社会全体としてどんな親子関係が望ましいか、子ども(たち)がどんな時間を過ごすことが望ましいか、そういう在り方も考えた上で保育体制やサービスを絶えず見直さなければ…そんな感じです。

 便利であることが本当に便利であるのか?
 いろんな場面で問われることが増えるのではないでしょうか。

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見えていることを伝えること 
<ヒューマナイズ通信 2019.06.05掲載 一部修正>

 最近、組織(チーム)の風土・文化をテーマにしたプロジェクトにクラアントと一緒に取り組むことが増えています。

 価値観の多様化、色んな意見の人が存在すると言うことを言葉・頭ではわかっているものの、その反応については組織(チーム)によってかなりクセ?があります。それが風土・文化と言われるものですが、そこに変化を加えようとすると、まず正しく認知することが必要です。起こっていることをありのままに(厳密に言えば、できるだけありのままに近い形で)認知することは、シンプルですが、シンプルなことほど難しいですね。

 認知心理学で有名な「ルビンの壺」という図形があります。意識の視点をずらすことで、壺に見えたり、向かい合った人の顔に見えたりする図形です。一つの図形ですが、どちらかが見えている時はどちらかが見えなくなります。
 正常な?状態は、ある時は壺に見え、ある時は顔に見える、同時には見えないが、意識・視点を変えれば両方見える状態(色々あるよ!という状態)です。

 もしどちらか片方しか見えていない場合は、片寄った思考状態にあるのかもしれませんし、冷静ではないのかもしれません。

 また、両方見えているのに、一つしか見えないと主張されることもあります。見えているのに言えないことにも何か怖れがあるのかもしれません。

 さらに最悪なのは?一つしか見えないという人(組織)に、おかしいと指摘できない雰囲気がある場合です。周りは両方見えているのに、片方しか見えていない人(組織)はスルーする、もしくは片方しか見えていない人(組織)を批判はするものの、そのことに関する対話は無いというケースもあります。

 見えている、感じていることが表せないと、関係性はどんどん悪くなる一方です。何かしら関係性を良くするためには、何が見えているのか、何を感じているのか、話し合うことから始めることが必要です…やっぱり話してみないとわからないことがたくさんありますね。

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人が採れない環境の中で 
<ヒューマナイズ通信 2019.05.22掲載 一部修正>

 人手不足・人材不足と言われておりますが、個人的にはオーバーヒート気味の採用熱は、これから少し下がるのではないかと予測してます。しかし、相変わらず採用の相談もたくさんいただいております。

 採用を進めるにあたって、最初に確認すべき点は、何のために採用するのか、採用の目的です。目的を決める方向性は大きく二つあります。一つは「社風に合った人材」を採用する、もう一つは「社風に変化を加える(これまでの社風にない)人材」を採用するという二つです。

 社風に合った人材、社風に変化を加える人材、それぞれ求めること・期待することが異なれば、評価基準・項目も異なり、選考方法も変わってきます。いつも同じような選考を行うのではなく、採用目的やどんな人材を採用したいかに応じて、採用のやり方(方法・プロセス)は変えることが望まれます。「採れない、採れない」と言われていますが、採れないからこそ何かを変えないと通用しない場面が増えているのではないでしょうか。

 一般的に、同一や類似の市場・サービス(商品・製品)・価値の提供を強化するフェーズでは、社風に合った人材が活躍しやすく、逆に現在とは、異なる市場・サービス(商品・製品)・価値の提供に取り組むフェーズにおいては、社風に変化を加える人材が必要だと言われています。

 これまではどちらかと言えば、社風に合った人材をいかに採用するかが主流でした。社風に合った人材の採用に成功している企業は、離職率も少ないため、採用=戦力アップ、特に戦力の量的アップにつながっていたと言えます。しかし、これだけ変化のスピードが速い時代においては、量だけでなく質的な戦力アップも求められます。

 社風に合う、社風に変化を加える、それぞれ何かを得るためには、何かに目をつぶること、何かを捨てる覚悟も必要かもしれません。
 いずれにしても、採用目的に向けて採用方法やプロセスが効いているかどうかを絶えず確認することが必要ですね。

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自分のストーリー(物語)を大切に 
<ヒューマナイズ通信 2019.05.08掲載 一部修正>

 改元で賑わっているようですが、個人的には前回の改元時にあまりいい思い出がないので、居心地が悪い感じです(笑)。

 前回の改元、平成元年は、1月に元号が変わり、3月に大学卒業、4月に就職、東京で学生生活を送りそのまま東京本社の会社に入社し、しばらくはこのままと思っていた矢先に、10月に父が急死し、12月に福岡に帰る(転勤する)、そして父が経営していた会社を清算すると言ったジェットコースターのような一年でした。

 30年が経過し立場が変わり、子供たちが当時の自分位の年齢になり、色々と思い返すことがあります。親に対しては、もう少し何かできたのでは…と言った後悔の気持ち、その一方で、環境が急変しながらも、よく知らないまま・わからないながらも、色々決断したり、対応していたなぁという感覚もあります。

 もう少し遡ると、高校は地元の進学校に通っていましたが、当時は一年浪人して希望する大学を目指す人が多数派でした。そんな中、我が家と言うか父親の関心は、どこの大学に進むかよりも進学にいくらかかるかということでした。大学進学にあたり、突きつけられたのは「現役ではどこを受けてもいい、ただし私立一つ、国立一つ。浪人するなら地元の国公立大学のみ。」という条件でした。

 とりあえず家を出たかった自分は、条件をクリアするために受験勉強よりも、大学を調べることに時間をかけていたような気がします(笑)。無事に現役で大学に合格し、結果的に大学卒業・就職して父の死を迎えることになります。しかし、進学が一年遅れ、父が亡くなる出来事を大学生の時に迎えていたら、恐らくまた違った人生を歩んでいたと思います。

 全ては「たら、れば」ですが、やはり、一人ひとり、ストーリー(物語)を持って生きていると感じます。自分の意思とは関係なく、様々な出来事に遭遇し、物語が急展開することもあります。思い通りにならないことばかりですが、たまに思い描いたシナリオと近い形で進んだ時に喜びを感じるのではないでしょうか。

 迷っている時ほど、他人や周りのことが気になることも多いと思いますが、最終的には、主人公しかわからないこと、見えないことがたくさんあります。もっと自分自身のストーリー(物語)、感覚も大切にして欲しいですね。
 と言いながら、これからのストーリー、想像がつきません(笑)

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信じることと期待すること 
<ヒューマナイズ通信 2019.04.17掲載 一部修正>

 「信じて欲しいけど、期待されるのは辛い」…以前カウンセリングを行っていた時にある方から言われた言葉です。

 信じる、期待する、何気なく使っていますが、「信じる」ことと「期待する」ことは、違うんだなと改めて感じました。実際の捉え方、解釈の仕方は様々だと思いますが、人によっては、受け取り方によっては、プラスに作用することもあれば逆にマイナスに作用することもあります。

 信じることと期待すること、未だにうまく説明できませんが、「信じる」はそのままを信じている、具体的な何かというよりもそこにあること、全体的に包括的に存在そのものを受け容れているイメージです。一方「期待する」には、何かをする(起こる)ことに期待しているという感じで、具体的な行動・行為・ふるまい、結果・成果などを求めているイメージです。期待値と言われる通り、期待する側は、何らかの基準を持っているように思います。
 何があっても(なくても)「信じる」、一方で具体的な何かを「期待する」…そんな感じでしょうか。

 人材育成の場面でも、よく「期待」という言葉が出てくることがあります。極端かもしれませんが、勝手に期待して、勝手に期待しなくなるような場面に遭遇することもあります。期待することは悪いことではありませんが、相手のためになる期待(期待値)かどうかという思いがなければ、マイナスに作用することも起こりえます。

 「期待されているが、信じてもらっていない」そんな感じでは、期待通りのことは実現しないとように思われます。
 期待する前に信じているか…「信じる」ことは、非常にシンプルで、そのため時には難しいことでもあります。信じる段階も様々だと思いますが、根っこの部分で信じることは、身近であればあるほど大切なことではないでしょうか。

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似ているものを探してみる? 
<ヒューマナイズ通信 2019.04.03掲載 一部修正>

 慢性的な人手不足で予測される中で、採用市場も大きく変化しています。一般的に売り手市場と言われていますが、選択肢が増え続ける中で返って迷っている学生も増えているようです。

 たまに学生対象に就活に関するアドバイスをすることがありますが、方向性が定まらない時には、何でもいいので一つ興味がある求人(企業)を見つけ、できるだけ似ている求人(企業)を探すことを勧めています。興味・関心が高いと言うよりも、少し気になるレベルでいいので一つ挙げて、似ているものを探すように勧めています。似ているものを探し始めると、探すプロセスの中で興味をもったきっかけや理由などが少しずつ明らかになります。

 似ているものを探す場面においてどこから探し始めるのか?何を基準に似ているものを探すのか?、そこにもこだわりが見えてきます。職種なのか、業種なのか、場所なのか、人なのか、何かの条件なのか…、色々と似ているものを選ぶ基準はあると思いますが、どこから探し始めるかもそれぞれの価値観が反映されています。

 似ているものを見つけ出し、いくつか並べて比較することで、優先する(しない)ことがわかることもあります。就活に限ったことではありませんが、好きなもの・興味があるものをたくさん並べてみる、並べれば並べるほど、気づくこともあるのではないでしょうか。また似ているものを探すことや、並べてみることに気が進まない場合でも、気が進まないことにも意味があると言えます。

 また、実際探し始めると、迷走することもありますが、迷走した足跡を辿ることも大切です。どの分野(モノ・コト)に魅かれていくことが多いのか、どこで脱線しやすいのか、足跡(プロセス)を辿ることで見えてくることもあります。

 具体的な何かを見つけ出す・探し出すことも大切ですが、探すという行動を起こすこととその行動のプロセスを振り返ることで見えてくるものが沢山あります。内側を見つめても見つからない時には、外に向けて「動きながら考える」ことも必要ですね。

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