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あるがままを見る 肩書きプロデュース

こんにちは。
コンテクスト・デザイナーの浅倉彩です。

編集者・ライターとして働いてきた16年間の経験を生かす次の展開として、このたび肩書きプロデュースのお仕事を始めました。

編集者・ライターのお仕事は、煎じ詰めれば「自分以外の誰かがしていることや、その人自身の魅力を知り、濾過して誰もに伝わる言葉にすること。」です。

この働きをしている中で、他にも多くのメディアから取材を受けている取材対象者の方から「今までで一番、本質を書いてくれた」「自分を的確に表現してくれた文章が気に入っていて、50回以上読み返している」といった嬉しい声をいただいてきました。

記事やコンテンツは本来、メディアの向こう側にいる読者のためのものです。ですが、私は気づけば目の前にいる取材対象者の方にとってよいものであるようにと思いを込めながら書くことが多いです。自分は表現代行者であるという感覚。おそらくその帰結なのでしょう。お仕事のメインはすでにあるメディアの記事制作よりも、企業のコミュニケーションツール(会社案内やWEBサイト・オウンドメディアとしてのWEBマガジンやフリーペーパーなど)をゼロからつくることとなっています。

アイデンティティやコアバリューをあぶり出して見極め、構造化して言語化するサービスを、多くの企業様やプロジェクトにおいて、してきました。

引き続き企業様向けのお仕事も継続しながら、特に得意な部分を精緻化したサービスを提供できれば、より多くの方の喜んでいただけるのではないかと熟考を重ね、たどり着いたのが、この肩書きプロデュースというかたちです。

言い換えれば、わたしがご提供する肩書きプロデュースは、企業のコミュニケーションツール制作に使っていた技能(詳しくは記事の後半にて!)を個人向けに展開した価値とアイデンティティの表出ツールです。

個人向けに展開しようと思った理由は2つ。1つは、わたしのライフワークが人間讃美であり、そのテーマにぴったりの仕事だから。もう1つは、とても印象的だったとあるできごとです。

ある日、ふとfacebookをスクロールしていると、友人が「肩書きで悩んでいる!」と投稿しているのを見かけました。「これは私の出番だ」とピンときて、「そういうの得意だよ、やってみよっか」とコメントしたところ、すぐにミーティングが実現。開始30分後には、彼女にぴったりの肩書き「ファンマーケーター」が誕生しました。彼女が積み重ねてきた過去にしっかりと根ざし、なおかつ少し先の未来をつくる肩書き。このとき30分ですんだのは、友人である程度人となりを知っていたことと、彼女自身の手で過去の棚卸しと、今後どうなりたいか上司とのメンタリングを経ての言語化を済ませていたからなのですが、逆にいえば、それをしてもなお、「これ!」というひとことを探し当てられていなかったのです。

その状態から、デスクをはさんで向かい合い、彼女が手元に持っていたノートを見せてもらいながら、わたしから自然に出てきた質問をぶつけ、答えてもらっているうちに

あ、わかった!

という瞬間が訪れました。彼女の人生にとって重要な「ファン」というキーワードと、これまでに経てきた職種、獲得した職能をひとことで表す「マーケター」というキーワード。2つとも、すでに彼女が自分で書いたノートの中にあったのですが、拾い上げられておらず、またキーワードどうしがつながっていませんでした。

「ファンマーケターじゃない?」の一声を聞いた時の、スコンと抜けるような爽快な笑顔を見たとき、シンプルに、人のこんな表情をもっともっと見たいと思いました。

肩書きは、人によっては1日に何回も、他者に対して名乗るものです。
また、他者に対してだけでなく、もしかしたらそれ以上に、自分で自分に対して、頭の中で繰り返し使います。結果として、自分が自分をどう捉えるかにも、大きく影響します。

肩書きは、着るだけで誇りがかき立てられ、
自分自身にワクワクできる魔法のお洋服みたいな言葉。
同時に、他者に名乗ったときに一瞬で
「どんなお仕事なんですか?」とノックしてもらえるような魅力的なドア。

それらを同時に、しかも30分で手に入れられたからこそ、彼女はあんなにも爽快な笑顔を見せてくれたのだと思います。

ファンマーケターという肩書きを名乗るようになってから、彼女はそれまで以上に注目を集める存在になっています。

私自身が驚いているのは、肩書きができる前から母校のセミナーや1000人クラスのカンファレンスへの登壇依頼がくるほどデキる女性である彼女でも、自分のありのままの姿を自分で納得のいく言葉にすることが難しくて悩んでいた、という事実です。しかも、彼女は広報やPR、販売といった、他者の魅力を表現する仕事をしてきているにもかかわらず。いや、だからこそ、できあがった肩書きやプロフィールに人一倍厳しい目を向けてしまい、納得することがなかったとも言えます。

この現象は「鏡がなければ自分の全体像を見ることはできない」という、シンプルな事実に似ています。

わたしが多面的な鏡として機能したことで、彼女は自分では発見できなかった、あるがままの自分の姿を見つけることができたのではないでしょうか。

ここからは、この鏡としての浅倉が優れている点を言葉にしていきたいと思います。

【共感力】
10年間、「なんかいろいろやっててよくわからない人」と言われながら、肩書きに悩み続けてきた経験から、自分の過去と少し先の未来を的確に言い表す肩書きが欲しい人の気持ちが痛いほどわかります。

【傾聴力】
先入観も利害関係もないまっさらな状態で、カラカラのスポンジのような吸収力とフラットな質問でたっぷりと、その人の中にある言葉を引き出します。

【メタ認知力】
職歴において、ベンチャー企業・大企業2社・中小零細企業・NPO法人と多様な組織に所属したあと、非属のフリーランスとして世渡りをしてきたことで、職能をさまざまな角度から分析し最適な場所に視点を置くことができます。

【ヒト多様性】【人間に興味がある】
ひとつのものさしとして最終学歴を持ち出しますが、わたしには東大卒の友達もいれば小卒の友達もいます。世界をまたにかけて働く友達もいれば、人口200人あまりの小さな島以外で暮らしたことのない友達もいます。産官学領域で地位や権力を持って活躍する方々もいれば、地位や権力とは無縁の根っからのヒッピーの方もいます。生まれ持った多動力と人付き合いの雑食性を発揮して、こうした方々と、お話したり取材させていただいたり、机を並べて仕事をしたり、時には一緒に住んだり(!)してきました。このようなヒト多様性が培われたのだと思います。

わたしには、多種多様な場で知り合った多種多様な人々からいただいた、多種多様な視点と価値観がインプットされています。そのため、人を見るスコープの画角が広く、奥行きが深い。結果として、解像度高く、その人を捉えることができるのだと思います。


最後に、これからの50年を笑って生きていくために、自分を的確にあらわすオーダーメイドの肩書きが必要だと思う理由をお伝えしたいと思います。

会社組織が盤石で、会社名と部署と役職が肩書きとして機能した時代は終わりつつあります。これを書いている2019年5月14日の前日、2018年に日本企業で初めて売り上げ30兆円を達成したばかりのトヨタ自動車社長豊田章男氏が「終身雇用はもう無理」と発言して話題を呼びました。従業員の生命維持装置としての企業が崩壊していくのと同時に、社会の中での居場所や自己効力感、他者とのつながりやそれらから生まれる誇りを与えてくれていた企業内肩書きも、これまで以上に無効化が進んでいくでしょう。

そうなった先の世界で、社会の中での居場所や自己効力感、他者とのつながりやそれらから生まれる誇りを持ち、正常な神経を維持して生きていくためには、これまでの企業内肩書きにかわる個人の肩書き、自分自身と心でダイレクトとつながった肩書きが必要です。

この世界をどう捉えどこを見ていて、それらが見える場所で生きながら何をしてきたヒトなのか。だから、どんな価値が提供できるのか。

単なる技能だけでは、よほどの希少性がない限り「あなたでなければだめ」と認めてもらうのは難しい。反対に、あなたという人全体を表現することさえできれば、唯一無二の存在になります。なぜなら、そもそも誰もが世界中でたったひとりの存在だからです。

オーダーメイドの「心の肩書き」を持つことで、自分自身も他者も、よりよくあなたを認められるようになる。その結果、より豊かなコミュニケーションが生まれ、その連鎖は社会を幸せにする。そう信じています。



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