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〔親の言葉から④〕「どう話し(かけ)たらいいの?」 (前編)

 前号で私は、不登校/ひきこもり状態にある人たちの多くは、思いどおりにならない自分の現状への不満やいら立ち、あるいは先行きへの不安や悲観的な気持ちが募った“反動” で「自暴自棄」「ヤケ」「投げやり」などと呼べる心理状態になった結果「このままでいい」「学校/社会には戻らない」などと言うのだ、とお話ししました。

 ただ、そう発言するきっかけは、そのような自分の心理状態だけとはかぎりません。なかには、親から「どうするの?」「このままでいいと思っているの?」などと問いただされて逃げ場がなくなり「親を黙らせなければ自分の心の安定を保てない」というところまで追い込まれた結果そのような発言をした、という場合もあるようです。

わが子と話せない親たち

 このように、わが子に懸命に話していたら不穏な言動をしたり、怒ったり無視したり、といった不安定な状態になってしまうことで、話しかけるのが怖くなったり話をするのが難しく感じられたりするようになった結果、話しかけにくくなって関係がぎくしゃくしている親子が少なくないようです。

 事実、相談や家族学習会などで「どう話し(かけ)たらいいのかわからない」という発言がよく聞かれます。

 「こんなことを言ったら傷つくのではないか」「こんなことを言ったら荒れるのではないか」などという心配が先立って話し出せない、というわけです。

 自分の話をまともに聞いてくれないわが子へのジレンマは、少なからぬ親御さんの大きな悩みのひとつでしょう。

 そんな親御さんに私がよく提案するのが「“防衛線”発見法」です。

 これは、親御さんが話しかけたときに本人が示す反応を見ながら、話題や話すきっかけを少しずつ増やし、少しずつ踏み込んだ内容へと進めていくことによって、本人の「これ以上踏み込んでほしくない」という“防衛線”を見つける、という方法です。

 次のようにイメージしてください。

                           <後編に続く>

不登校・ひきこもりに関する研修費に充て、相談支援のスキルアップと充実したメルマガ掲載文執筆に還元させていただきたく、よろしくお願い申し上げます。