答えが欲しい親御さんへ(後編)
答えは模索と積み重ねの先に
結論から申し上げますと「絶えざる模索と積み重ねの先にしか答えはない」ということに尽きると思います。
「親はどんな対応をしたら本人がどうなるか」について、ある程度共通する判断基準はいくつかあります(メルマガ掲載文で提案している内容の多くがそうです)が、本人のタイプや状態、家族関係などの組み合わせによって何通りもの対応が考えられます。また、本人と話ができない状況にある親御さんは、大きく制約されたなかで対応しなければなりません。
そういった状況で常に模索しながら本人に対応しているうちに、個々の対応と本人の反応との関連性がだんだん見えてきます。点がつながって線になってくる感じでしょうか。そうして「こういう場合はこうすると良い」とわかってきた対応を積み重ねていけば状況が進展していき、やがて「うちの場合はこうだった」という答えが得られることがあるわけです。
対応の判断基準は「本人」
ただし、対応の判断基準は「学校/社会」ではなく「本人」であってほしいと考えます。つまり「学校/社会復帰というゴールから逆算して今どこの地点にいるからこういう対応をすべき」ということでは、本人に合った対応になりません。あくまで「本人が今どういう状態・気持ちか、何を望んでいるか」をもとに判断することです。
面倒だとお感じでしょうか。確かに「こうしたら学校/社会復帰できる」とか「こうしたら本人の状態が良くなる」といった普遍的な法則=答えがあり、それに従って対応していけば、親御さんは楽でしょう。
しかし不登校/ひきこもり状態の人たちは、自分を十把ひと絡げに扱わずに個人として尊重してほしいと、その生きざまによって訴えているように思えてならないのです。
去年11月29日に講師と対談者をつとめたオンラインイベントの主催者
兼対談相手で、ひきこもり当事者の新舛(しんます)秀浩氏が、終了後に「物事は分かりやすいほうが受けると思うので、偏った見方は減っていかないと思います」とおっしゃっていましたが、このような感覚は少なからぬ当事者経験者が共有していることでしょう。
今年も家族関係は続きます。多難な時代を生きる家族どうし、仲良く生活を共にすることを心がけて接してください。
本人はきっと家に居やすくなることでしょう。
初出:メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』第245号(2020年12月10日)
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※第3波の感染減少が見えてきましたが、まだまだ予防対策を心がける生活は終わらないでしょう。不登校/ひきこもり状態の本人がどのような影響を受けているか、本文でふれたほかにもさまざまな話が入ってきています。私としても皆様と同じようにやれることをやるだけです。とりあえず30日のひきこもり家族会「しゃべるの会・ひきこもり編」はオンラインで開催します。ご家族の方は前回後半の末尾に掲載した告知をご覧ください。
※このメルマガバックナンバー掲載文、拙著『不登校・ひきこもりが終わるとき』に収録した約50本はほとんど転載しませんので、ご関心をお持ちの方は同著を入手してご一読ください。
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