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〔周囲の助言・ウソとホント(2)〕「その習慣を変えなさい」(前編)

※今月は、先月開催した「不登校・ひきこもりセミナー2020」第1部の写真を掲載しています。

※2002年10月に創刊し、掲載文が200本を超えたメールマガジ(メルマガ)『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』のバックナンバーから厳選した100本(予定)の掲載文を、毎週1本ずつ転載しています(歳月の経過を踏まえ、字句や一文、一段落など小幅な修正をしている場合があります)。

※前回から、前々回転載した文章の趣旨を受ける形で始めた「周囲が親御さんによくやる助言を3つ取り上げ、その正しさと限界を考える3回シリーズ」を転載しています。今回は第2回です。

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否定される家族/親子関係

 親御さんが結婚されたときから家族関係は始まり、お子さんが生まれたときから親子関係は始まります。

 家族関係にも親子関係にも、それぞれ固有のルールや習慣、あるいはコミュニケーションスタイルがあり、どれも長い歴史のなかで互いに認め合って積み重ねてきたことです。
 たとえば、父も母も働いている、子どもに門限を決めている、子どもが親に何でも言える、・・・などなど。

 ところが、お子さんが不登校/ひきこもり状態になると、家族や親子にとって自明になっているそういうものの意義を、周囲の人たちから問われることが珍しくありません。

 「(お母さんに)あなたが仕事をやめて○○ちゃんのそばにいてあげたほうがいいんじゃない?」
 「相手にするから図に乗って同じことを繰り返すのよ」
 「お小遣いあげるのをやめれば?」
 「家から追い出せばいいじゃないか」

 そのように助言されると、あながち間違いとも思えないだけに、親御さんとしては反論できず、進退窮まるような思いになるでしょう。
 助言に従うべき(そうしなければいけないな)という考えと、抵抗感(そう簡単にはいかないよ)との間で揺れ動くことでしょう。

 親御さんにとっては、たとえわが子が不登校/ひきこもり状態になっても、それまで続けていた習慣を簡単に変えることは難しいと思います。

母親は仕事を辞めるべき?

 親子関係が親密だった場合、お子さんが不登校/ひきこもり状態になると、親御さんへの依存が激しくなることがよくあります。たとえば、夜遅くまで話し合いの相手をさせることはその典型です(私もそうでした)。

 しかしだからと言って、親御さんが突然態度を百八十度変え、わが子を無視し続けたり家から追い出したりすればわが子は良くなるのか、確信が持てないのは当然のことです。

 まして、長年働いていたお母さんが「仕事を辞めてわが子のそばにいてあげる」と決断することは、お母さん自身の人生を左右する重大事であり、他人が口出しする範囲を超えています。

 にもかかわらずわが国では、不登校/ひきこもり状態の原因や対応について考えるとき「共働き」が否定的なニュアンスで取り上げられることが多く、その風潮が「お母さんの仕事」を否定する助言を誘発しているように思います。

 仕事をしているお母さんが、お子さんに望ましい変化が見られているにもかかわらず、周囲の助言に心迷わせ「仕事を辞めるべきでしょうか?」と、私に意見を求めたこともあります。
 この場合、お母さんが仕事をしていることとお子さんの状態とは、あまり関連性がないと判断できます。

                           <後編に続く>

不登校・ひきこもりに関する研修費に充て、相談支援のスキルアップと充実したメルマガ掲載文執筆に還元させていただきたく、よろしくお願い申し上げます。