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本人が人権を主張する意味(後編)

暴力にさらされて

2.暴力的対応への拒否
*暴力から守られ安心して育つ権利(不登校宣言8条)
*不当な支援・治療・説得を拒むことができる(ひき宣言6条)

 この文章を掲載したメルマガ第259号が配信された日は、東京都内で進んでいる “引き出し屋裁判” の判決日でした(業者と母親に損害賠償判決)。 このような訴訟はいくつも起こされており、被告の支援機関は本人が望んでいない暴力的な支援方法(長時間の説得からの強制連行・施設への軟禁監禁など)である点が共通しています。
 不登校の分野にもそういう悪質支援業者は存在していると聞きます。ただ、不登校宣言に例示されている暴力は「体罰、虐待、暴力的な入所・入院」となっており、登校刺激における親御さんの行為、および宿泊施設への移送や精神科への強制入院が想定されているようです。

差別にさらされて

3.対等な関係性の希求
*対等な人格として認められる権利(不登校宣言10条)
*平等権(ひき宣言2条)

 不登校宣言では「おとなは私たちを対等な人格として認め、いっしょに考えなければならない」と記され、また不登校宣言でもひき宣言でも、さらに詳細に「人種、性別、信条、障害、年齢、経験によって、ひきこもる人は、差別されない」と、それぞれ記されています。
 「学校に行っていない/仕事についていないから」→「○○する/してあげない」「○○しろ/するな」という対応に、差別を感じ自己否定感を掻き立てられ、生きるモチベーションを削がれている本人たちの切実な思いが、このような要求に表れていると感じます。

 以上、字数の都合で3点だけにとどめましたが、ふたつの宣言にはほかにも本人たちが求める数々の権利が盛り込まれていますので、不登校とおとなのひきこもりのご家族や関係者の方々には、それぞれの宣言をご参照いただければ幸いです。

初出:メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』第259号(2022年3月25日)

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※今回の文章は、執筆中にいつもの字数の目安を間違えてそれまでより少ない字数で完結させてしまったため説明不足の点はありますが、悪質支援業者の横行など不登校/ひきこもり状態の人間には人権がないかのような社会の風潮に風穴を開けたい、という作成グループの思いが少しでも伝われば幸甚です。

※今月のカバー画像は、昨年12月23日に厚労省内で行われた「ひきこもり人権宣言作成班」による発表記者会見の模様です。

※冒頭でお伝えしたように、あさってオンライン開催する「不登校・ひきこもりセミナー2022」の講演では、この文章の内容を織り交ぜながら本人たちの多くが望んでいるであろう見方・接し方・支援のあり方をお伝えします。

※同セミナーにご関心の方は、次にリンクしてある主催団体「ヒューマン・スタジオ」公式ブログ記事の5番目から順に上へ読み進めていただき、よろしければその次にリンクしてある告知ページでタイムテーブルや参加方法をご確認のうえ、そこの申込フォームからお申し込みください。なお、メールでのお申し込みは当日正午まで受け付けますので、当日までご都合がお分かりにならない方もご検討ください。

※来たる6月5日(日)、神奈川県逗子市でひきこもりイベントが開催され、私はパネリストのひとりとして登壇します。オンライン併用開催ですので、全国のご関心の方は急ぎ公式ブログ記事で詳細ご確認ください。

※来たる6月19日(日)、私が代表をつとめる市民グループ「ひきこもり つながる・かんがえる神奈川ネットワーク」が共催するオンラインイベント「ひきこもり つながる・かんがえる対話交流会in神奈川」が開催されます。こちらは、私が最初に挨拶と話題提供したあとテーマごとにグループ対話を行うイベントですので、ほかのイベントと違って話したい方や誰でもいいからたずねたいことがおありの方、あるいは出会いやつながりを求めている方に最適です。ご関心の方は主催団体のホームページに掲載された開催情報をご覧ください。


不登校・ひきこもりに関する研修費に充て、相談支援のスキルアップと充実したメルマガ掲載文執筆に還元させていただきたく、よろしくお願い申し上げます。