見出し画像

あらためて、本人・家族と支援者について(前編)

※今月は、先月開催した「不登校・ひきこもりセミナー2020」第1部の写真を掲載しています。

※2002年10月に創刊し、掲載文が200本を超えたメールマガジ(メルマガ)『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』のバックナンバーから厳選した100本(予定)の掲載文を、毎週1本ずつ転載しています(歳月の経過を踏まえ、字句や一文、一段落など小幅な修正をしている場合があります)。

※先週まで、先月最後に転載した文章の趣旨を受ける形で始めた「周囲が親御さんによくやる助言を3つ取り上げ、その正しさと限界を考える3回シリーズ」を転載しました。今回はそのシリーズのまとめとして書いた文章を転載します。

====================

 前回まで3回にわたって、不登校/ひきこもり状態にある人のご家族に周囲が助言する言葉を取り上げて考えてきました。

 それを受けて今回は、周囲のなかでも、前回で取り上げたようなカウンセラーや精神科医などの専門家、および行政や民間の支援機関の関係者といった「支援者」と呼ばれる人々(もちろん私自身も)が、日頃それらの言葉を使うのを聞いていて感じることを、自戒を込めつつお話ししたいと思います。

専門家のシナリオどおりに対応できるか

 まず、前々回で取り上げた「その習慣をやめなさい」という言葉を、支援者が使うことについてです。

 これを支援者、特にカウンセラーや精神科医などの専門家が言うときは、一般に「助言」というよりも「指示」になります。つまり「言ったとおりに実行しなさい」という意味で、それらの言葉が使われます。
 まさに「介入」(前回の定義1.)です。

 たとえば、非行に走ったお子さんのことで相談に通っているご両親に「きょうから門限を決めましょう。1秒でも過ぎたら絶対に家に入れてはいけません」と指示した専門家がいます(有名な話なので思い出した方もおられるでしょう)。

 この場合、それまでいつ帰宅しても家に入れるのが当たり前だったら、そういう習慣を変えることは、親御さんにとってとても勇気のいることだと思います。逆効果になって本人の状態が悪化すれば、それに直面するのはほかならぬ親御さんであり、専門家ではないからです。

 このように、本人や親御さんの状況におかまいなく「こうすべき」という原理原則や理想像、または改善プログラム(シナリオ)を一律に指示し、それに従って動くよう求める専門家がよくいます。
 そして、親御さんが実行できなかったら、その責任を親御さんに求めるわけです。

 私は、本人はもちろん親御さんの個性や置かれている状況をも考慮したうえで、それに適した対応を考案するのが専門家ではないのか?と考えるのです。

                           <後編に続く>

不登校・ひきこもりに関する研修費に充て、相談支援のスキルアップと充実したメルマガ掲載文執筆に還元させていただきたく、よろしくお願い申し上げます。