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〔親の言葉から③〕「このままでいいと思っているの?」 (前編)
私はつねづね、本人の多くは「学校/社会に復帰したい」と願っている、とお伝えしています。しかし親御さんのなかには、わが子に「もうこのままでいい」「学校/社会には戻らない」などと言われて「それが本音なのでは?」と疑問をお持ちになった方もいらっしゃると思います。
確かに、わが子は毎日を安穏と過ごしているように見えるし「どうするのか」とたずねても何も言わない、ということで「現状の生活に安住しているのでは?」「がんばることから逃げているのでは?」などと気をもんでいるところへ前記のようなことを言われれば「一生このままでいるつもりなのか?」「学校/社会に戻る気がないのか?」と受け取るのも無理はありません。
しかし、ほんとうにそうなのでしょうか?
このままでは嫌だけど
私は、本人の様子や言動について親御さんからお話をうかがったり、本人から直接聞いたりしていて「“一生このままでいい”と」あるいは「“学校/社会に戻るのをやめた”と」「この人は本気で思っている」と判断したことは、これまで一度もありません。
心のなかでは“一生このままでは嫌だ”“戻れるものなら戻りたい”と思っていることがうかがわれる人ばかりだからです。
もちろん、本気で思っている人もいるでしょう。ただしそういう人は、葛藤の末に新しい自分の生き方を発見した結果そう決意したのであって、最初からそう決めていたわけではないはずです。
そもそも最初から「このままでいい」「戻る気はない」と居直っている人は、葛藤もなく遊び回っているでしょう。私はそれを「不登校状態」「ひきこもり状態」とは扱いません。
ただ「しばらくそっとしておいてほしい」「今は行きたくない」などと周りに伝える人はいます。でもこの場合も「当面の間は」「現時点では」という意味であり、もともとは“このままでは嫌だ”“戻れるものなら戻りたい”という意識が底流にあることは共通しています。
では、本人たちはなぜ「このままでいい」「学校/社会には戻らない」な
どと言うのでしょうか。
<後編に続く>
不登校・ひきこもりに関する研修費に充て、相談支援のスキルアップと充実したメルマガ掲載文執筆に還元させていただきたく、よろしくお願い申し上げます。