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当事者の本音トークを聞いて(前編)

※2002年10月に創刊し、掲載文が200本を超えたメールマガジ(メルマガ)『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』のバックナンバーから厳選した100本(予定)の掲載文を、毎週1本ずつ転載しています(歳月の経過を踏まえ、字句や一文、一段落など小幅な修正をしている場合があります)。

※今月は、前々回に転載した文章から続く192号から195号の掲載文を順に転載しています。「不登校/ひきこもり状態の人が元気になっても支援を受けられない理由」を考える内容が中心です。きょうは、9年前の4月に配信した第193号の掲載文です。これは、私がやっている不登校・ひきこもり相談室「ヒューマン・スタジオ」が同年3月に2日間の日程で開催した「第18回青少年支援セミナー」2日目のプログラムだった「パネルトーク」について、会場スタッフを務めてくださった方のご感想を中心に書いたものです。よろしければ↓のリンク先記事でパネルトークの趣旨や概要をご理解のうえお読みください。

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リアルで実感こもる当事者発信

 前々回と前回の本欄で私は「不登校/ひきこもり状態の人たちが、元気になってきてもなかなか支援を受けることができない」という状態についてお話ししてきました。

 その矢先に開催した「第18回青少年支援セミナー」2日目のパネルトークでは、はからずも<支援をめぐる現状と当事者が求める支援の落差>が話
題にのぼり、当事者が何を思い何に気づいているのかが伝えられました。
 また同時に、そのことを当事者自身が語るのと専門家や支援者が代弁するのとでは、内容の現実味と実感のこもり方が大きく違うことがトーク全体を通じてうかがわれました。

 そこでここでは、いつもと趣向を変えて、パネルトークで語られたことのなかで、まず支援についての部分の報告と全体の感想を、受付をやってくださった北村さんが別のところでお書きになったものを、許可を得て編集・転載させていただき“当事者発信”の意義を訴えます。

☆引用ここから☆

2日間のセミナーに参加して

 (丸山さんの)1日目の講義や関水さんとの対談の内容の濃密さもさることながら、2日目の特に不登校・ひきこもりの当事者・経験者によるパネルトーク、これは私が経験してきた中では、類をみないものであったと思います。

 まず、主催が不登校・ひきこもりの当事者である丸山さんであったこと。そして参加者も全員、同様に当事者・経験者であったこと。

 ちなみに失礼かもしれないけれどコピーを使わせてもらうと、
≪半人前主義≫の勝山さん、
≪絶対に学校行かないぞ≫の伊藤さん、
≪違和感捨てないぞ≫の林さん、そして
≪野生動物として生きる≫の丸山さん。

 これらの方々が丸山さんの進行(田原総一朗風の)で、それぞれに思うことを語ってくれました。

「政治家に伝えたほうがいいよ」

 まずは現行の【ひきこもり支援】のおかしさ。

 年間20億円のお金がひきこもり支援(丸山注:全国110か所に設置されている「地域若者サポートステーション」=伊藤書佳氏が指摘)として組まれているが、そのほとんどが当事者ではなく支援団体を支援するために使われている、と感じる。

 そのため団体のカオは当事者ではなく、お金をくれる国家に向けられるので、どうしても≪就労支援≫に向かわざるを得ない。
 現在の社会の経済状況、雇用状況の中では、履歴書に空白のあるひきこもり経験の人々が就労できるなんて、ほとんど実現不可能なこと。
 それなら、外出したいと思った時に役立つ交通パスなどの直接支援をして欲しいこと。

 などが、当事者発信のメッセージとして伝えられました。
 受付にいた私に『きょう聞いたこと、もっと政治家に伝えた方がいい
よ。みんな知らないから』と言い置いて行った人もいました。

                           <後編に続く>

不登校・ひきこもりに関する研修費に充て、相談支援のスキルアップと充実したメルマガ掲載文執筆に還元させていただきたく、よろしくお願い申し上げます。