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「#こもりびと」キャンペーンが終わって(後編)

講演で引用した番組

 ちなみに、放送当日に横浜市内のひきこもり家族会例会で講演した際、前日の昼に『土曜スタジオパーク』を、夜に『ウワサの保護者会』を観ていたため、その両番組で聞いた発言をいくつか引用しました。

 当メルマガ前号(筆者注:次週転載)で「答え」について書きましたが『土曜スタジオパーク』での武田鉄矢さんの「社会がひとつしか答えを持ってないのが問題」「(たくさんの命が共存している)森みたいな社会が望ましい」という発言を、『ウワサの保護者会』で出た「お母さんはなぜ仕事を辞めたの?と聞かれた」「見守っててほしいけどガッツリ見守られるのはしんどい(大意)」という発言を、それぞれ講演内容に対応して引用しました。

 また、講演のついでに「今夜『こもりびと』を観てください、私が映っているかもしれません」などとPRしたのですが、観ていたら講演や質疑応答でお話しした内容をそのまま再現したようなセリフやシーンがいくつもあって「講演を聴いてドラマをご覧になった方は理解がさらに深まっただろうな」と、幸運な巡り合わせに感激しました。

ゲーム漬けは依存症か

 そのあと11月25日、あるひきこもり支援機関の関係者連絡会でも、ドラマやその後に放送された番組の内容にふれながら講演しました。

 まず、本人の心理を説明するなかで、最初に『ハートネットTV』(再放送)に出演したS.Mさんの言葉を引用しました。

 そのあと「二次症状」のところで「ゲーム漬けもそのひとつ」と言ったついでに、前夜に放送された『きょうの健康』“ひきこもり”総力特集第3夜「ゲーム依存とひきこもり」の内容に反論しました。

 さらに「本人は“資格取る”とよく言う」と言ったついでに、ドラマ『こもりびと』で、雅夫のパソコンの検索履歴に資格サイトがゴロゴロ出てきた場面を紹介しました。

 “「ゲーム依存とひきこもり」の内容に反論しました”というのは、具体的にはこういうことです。

 番組で話した依存症の専門医はWHOの診断基準に当てはめて論じるばかりで、内容も最初こそひきこもり状態とゲーム依存を結びつけていましたが、話すにつれてひきこもり状態への言及がなくなり、単なるゲーム依存の話に終始してしまったのです。
 この番組を見て私は、「ひきこもり状態におけるゲーム漬けは二次症状(ひきこもり状態が和らぐにつれて治まっていく)」という自分の見解が間違っていないことを確信しました。

本人たちの生きざまを参考に

 最後に「ひきこもりながらにしてアーチスト活動している「まふまふ」という若者を取り上げた番組についてひと言。

 有名ユーチューバーのHIKAKIN(ヒカキン)氏との対談中に彼が口にした「人の轍(わだち=タイヤ・車輪の跡。転じて先人の道筋・先例)は歩けない。切り拓いていかなければ」という言葉は、まさに不登校/ひきこもり状態にある人たちの生きざまそのものです。

 もちろん、才能があればこそあれだけの活躍ができているのは事実ですが、私がメルマガで「“人生のイチロー・タナカ”になる」というたとえ話を書いたことがあるように、才能ではなくその生き方を参考にすることはできると思うのです。これらNHKのキャンペーンで放送された番組群をご覧になった方々が、本人たちの生きざまや発言からそのヒントを見出してくださったら、元当事者のひとりとして望外の幸せです。

初出:メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』号外(2020年12月26日)

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※最新の文章です。次週、最新号の掲載文を転載しますが、その号を配信したあと「『#こもりびと』プロジェクト」の感想や関連情報を1本の文章にまとめて掲載したくなり、急きょ号外を配信することにしてそこに書いたものです(転載にあたり一部修正)。

※このメルマガバックナンバー掲載文、拙著『不登校・ひきこもりが終わるとき』に収録した約50本はほとんど転載しませんので、ご関心をお持ちの方は同著を入手してご一読ください。

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