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ひきこもり生活を楽に!楽しく!(前編)

※2002年10月に創刊し、掲載文が200本を超えたメールマガジ(メルマガ)『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』のバックナンバーから厳選した100本(予定)の掲載文を、毎週1本ずつ転載しています(歳月の経過を踏まえ、字句や一文、一段落など小幅な修正をしている場合があります)。

※先月から、時期に関連させることなくほぼメルマガの配信順に転載しています。今月も引き続き「プロセスとそれに沿った対応」について書いた文章を順に転載していきます。きょうはその第7弾、6年前の6月に配信された第212号の掲載文です(現在に合わせるため年数を「6」足して書き換えています)。

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ひきこもり生活での困りごと

 当スタジオで相談業務を始めてから18年半が経ちました。家族会も「しゃべるの会」の11年間に、それ以前の「家族学習会・不登校編」と「同・ひきこもり編」を毎年1シリーズ(2回または3回連続)ずつ開催していた数年を合わせると、16年近くやっている計算になります。

 このような援助業務のなかで、不登校/ひきこもり状態にある本人の様子について、親御さんから心理状態を示す言動のほかにしばしば聞かれるのが「歯が痛いのに歯医者に行かずに我慢している」「床屋に行かずに髪が伸び放題」「寝食を忘れてゲームに熱中している」といったことでした。

 一般的な不登校/ひきこもり支援は「家庭訪問を受け入れさせる」とか「フリースペースや適応指導教室に来させる」といったところからスタートします。つまり、それまでの「不登校/ひきこもり生活」の間、支援は手つかずのまま医師や相談員などが「歯医者や床屋に行けるようにさせる」「ゲームへの熱中をやめさせる」という“使命”を、親御さんをはじめとするご家族などに課すだけです。

本人が変わらなければ解決しない?

 しかし、それらの目標は一朝一夕に達成されるものではありません。歯医者や床屋に行けるようになったりゲームに熱中しなくなったりするためには、本人の心が変化しなければならないからです。

 と言うことは、本人の心が変化しないかぎり、生活上の困りごとが解決しないまま延々と年月が過ぎていくことになります。

 実際、歯医者に行けずに虫歯が進行してしまったり、床屋に行けずに髪の毛がボサボサになった自分の容姿が恥ずかしくてますます外出しづらくなったり、ゲームを否定されてますますのめり込んでしまったり、といった話は枚挙にいとまがありません。

 「本人が楽になって自分のペースで“トンネル”を歩き通すことを応援する」という理念を本欄で一貫して訴え、またそれにもとづく援助業務を実践している私が、学校/社会復帰をめざすかどうかにかかわらず「本人の心を変える支援」に加えて、このような“困りごと”を抱えたままでいる本人の生活そのものに支援をすべきではないか、と考え始めたのは10年近く前のことです。

 では、どのような支援が考えられるでしょうか。

                           <後編に続く>


不登校・ひきこもりに関する研修費に充て、相談支援のスキルアップと充実したメルマガ掲載文執筆に還元させていただきたく、よろしくお願い申し上げます。