見出し画像

“白黒思考”からの脱却を(後編)

白黒思考の支援者たち

 そこで、不登校/ひきこもり状態がこのような白黒はっきりしない点に特徴づけられるものならば、親御さんや関係者の方々の対応や支援の考え方も、白黒はっきりしないほうが良いと言えます。

 ところが、関係者の多くは不登校/ひきこもり状態を「学校/社会復帰するかしないか」の二者択一のテーマであると決め込み、学校/社会復帰ありきの考え方で支援していることはご存知のとおりです。

 実際、関係者の集まりで講演したとき、就労支援機関の方に「就労させるのが当然と思ってやっていたが、お話を聞いて目からウロコだった」と言われたことが、一度ならずありました。

白黒思考の親御さんたち

 一方親御さんも、対応の考え方を聞いたり読んだりなさったとき“白か黒か”という極端な受け止め方をなさる方が少なくありません。

 たとえば「厳しくすべき」という考え方を知って、前回挙げた例のように「本人を追いつめるべき」と受け止めたり「本人の気持ちに寄り添うべき」と言われて「何もしてはいけない」と受け止めたり、といった具合です。私の文章やある有名精神科医の講演がそのような受け止められ方をしていた、ということが実際に起きています。

 このような極端な受け止め方をなさる親御さんは「厳格か放任か」という“白黒思考”しか身についておらず“中間色”の存在や、その微妙な色合いがイメージできないのではないでしょうか。もちろん、伝えるほうの私たちがそのように受け止められないよう、伝え方の工夫を怠ってはならないことは肝に銘じなければなりません。

 少々わかりにくかったかもしれませんが、不登校/ひきこもり状態を「学校/社会に戻るか戻らないか」という二者択一のテーマとして認識してはならないことをご理解いただければ幸いです。

 次回以降、本人の心理と対応、あるいは支援のあり方など、具体的なお話をしていきます。

初出:メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』第229号(2018年4月4日)

====================

※本欄は、note運営のアドバイスにあった適度な文章量を踏まえて1本の文章を前後編に分けて転載していますが、今回の文章は3分割しかできない構成だったため、前編と後編の量が約2対1になってしまいました。

※それはともかく、不登校/ひきこもり状態の人を「学校/社会から離れているから戻す」とか、不登校/ひきこもり状態は「学校/社会復帰するかしないかという問題」といった“白黒思考”への反論として思いついたこの“グレーゾーン仮説”は、不登校・ひきこもり理解の基本として講演などで強調しています。ただし、先週ご紹介した「OSDよりそいネットワーク」でのミニ講演もそうですが、現在では違う説明の仕方をしており、それをいずれメルマガに書くつもりです。

※このメルマガバックナンバー掲載文、拙著『不登校・ひきこもりが終わるとき』に収録した約50本はほとんど転載していませんので、ご関心の方は同著を入手してご一読ください。

※この文章でメルマガ『ごかいの部屋』を読みたくなられた方は、こちらの配信サイトのページで読者登録をお願いいたします。同メルマガの内容は3号周期になっており、次にこのような文章が載るのは3月号です。

※私がやっている不登校・ひきこもり相談室「ヒューマン・スタジオ」が3か月ごとに開催している家族会「しゃべるの会」。今月は22日(土)に「不登校編」をZOOMで、29日(土)に「ひきこもり編」を会場とZOOMで、それぞれ開催します。不登校状態の子とひきこもり状態のおとなのご家族の方は ↓ の公式ブログ記事をご覧のうえ、よろしければご参加ください。


不登校・ひきこもりに関する研修費に充て、相談支援のスキルアップと充実したメルマガ掲載文執筆に還元させていただきたく、よろしくお願い申し上げます。