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結末を告げる体内カレンダー(後編)
変化は「時計反応」のように
ところで、自らも経験者であり、かつ現在相談業務にたずさわっている私としては、ほかの経験者の体験談や相談を受けたケースを思い起こすと、不登校/ひきこもり状態には今述べたような変わり目が「あらかじめ用意されている」と感じられることがしばしばです。
メルマガ第10号で、出身高校の先生が書いた「時計反応」という化学反応の話を紹介しました。これは「ある薬品どうしを混ぜると、そのときには何も起こらないが、しばらくたつと突然、まさに突然目に見えるような変化(たとえば色の変化)が起こる」というものでした。
これを不登校/ひきこもり状態にたとえれば「適切な対応をしてもそのと
きには何も起こらないが、しばらくたつと突然、目に見えるような変化が起こる」と言うことができます。
変わり目は「体内カレンダー」のように
「体内時計」という医学用語をご存じのことと思います。人間の体には時計の機能があり、24時間余りの「概日リズム」によって、夜に眠くなり朝に目が覚める、といった現象が必ず起こるわけです。
私はこれをもじって「体内カレンダー」という概念を提唱しています。
人間の体にはカレンダーの機能があり、人それぞれの「歳月リズム」によって、長く葛藤に苦しんでいても変わり目が必ずやってくる、という意味です。
もちろん、生活が乱れていると「体内時計」が狂ってくるのと同様、葛藤によって心が千々(ちぢ)に乱れるばかりでは「体内カレンダー」も狂って、変わり目が先送りされてしまうでしょう。
周囲の適切な対応の積み重ねや、本人を支える人・事・物・希望のどれかがあれば「体内カレンダー」は順調にめくられ、変わり目が日一日と近づいてくる、というケースが多いように思われます。
しかし、経験者のなかには「変わり目が来るのが遅すぎた」「長引かないよう早めに厳しく支援すべきだ」などと語る人が少なくありません。
「時計反応」や「体内カレンダー」のようにして、自然に変わり目が来ることは良くないのでしょうか。今年度もさまざまな視点から考えます。
初出:メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』第152号(2008年4月9日)
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