#9 ブラック勤めのオンナの逆襲 〜 どなり合いなら外でやれ〜
金はある、名声もある、でも健康な体だけがない爺や社長。カラダがフラフラで、着ているものもジーンズとトレナー。だから、人によっては馬鹿にする輩(やから)もいる。
この爺や、実は洋服以外、身に着けているものは一級品。見る目のある人が見ればわかる。眼鏡も、腕時計も、ネックレスも、自宅にある数台の車も。。。
無形・有形資産合わせて数億円。
東京にいたころはよく
「ああ、○○のお方なんですね、今は社長さんでいらっしゃる。ただものじゃないと思ってました」
そう、爺やは見る人が見れば、よくわかる。一般人にはないオーラがある。でも、着ているものは質素なもの。本人もお気楽オープンおしゃべり爺や。
それでも、地方の町医者で高齢者を見下す○ホウな医師や、見かけだけで判断する看護婦がいた。
「俺はすごいんだー」
病院の診察中、毎回TV出演した動画や、過去の栄光をまとめた動画を見せていた。
自慢話をする爺やに、病院の若い医師(といっても40代?)と看護婦がクスクスと小笑いにしてバカにする。
毎回。
診察に行くたびに、毎回。
小馬鹿にした態度が大きくなっていく。
(やばいなぁ、この人たち爺やの怖さ、しらないからなぁ。。。)
(しかしひどいなぁ、口コミでかいちゃおうかな、、)
そう思う私もブラックだが、そんな爺やは、
看護婦にわが社で数万円する商品を、
日ごろのお礼としてプレゼントした。
はたから見てても失礼極まりない、医師と看護婦。
ついに私も口を出した。
「お言葉ですが、なんであんな人にプレゼントを?毎回毎回、馬鹿にして」
「見ていて腹立たしいです。口コミ書きましょうかね?」
のらりくらりとかわす爺や。
「んー、そうかぁ。。。」
他人事のように、関心を示さない。
そんなある日。
診察日でもない日に突然、
爺やは行動を起こした。
「おい音野、いまから○○病院へ行くぞ」
爺やの怒りはジワリジワリと増えてゆく。
長年いるからよくわかる。
あーあー、一番怒らせちゃいけない人をおこらせたね。
(看護婦と医者め、わたしは助けないぞ)
医師は、別棟で診察中。看護婦がいたので呼びだしていた。そして、病院の廊下で、怒涛の雷が落ちた。
「いい加減にしろ!お前たちは馬鹿にしやがって!いいか、俺はな人のために事業を起こしたんだよ!俺一人なら十分食べていけるんだーー!」
それはそれは、ものすごい怒鳴り声。
いや、カミナリではなくあれは雷(いかずち)
かれこれ1時間以上続いた。
終わらない怒鳴り声、
壁を叩く音、
病院内で。
廊下で。
コンコンと
うなだれる看護婦。
30年もメーカーを存続させ、
特許まで取り、
自分は質素な生活をする。
東京の一等地にマンションも持ち、
地方に不動産3件保有。
車は日本車と外車、合わせて数台。
これらをすべて、
キャッシュで買った爺。
そうキャッシュ、
現金。
すげー。
考えればわかるだろうに。
それだけの資産を作るには、
一般人ではできない。
戦略や営業活動、お金の回し方。
経営者としては確かに切れ者だ。
だけど、病気の後遺症でろれつが回らない。
独特なしゃべり方や、
質素な服装だけで見下す人もいる。
私は、うなだれる看護婦には助け舟を出さなかった。
離れた場所で爺が気が済むのを待つ。
そして帰社した。
数日後、診察に行くと、
副院長だった医師は、ただの透析担当医に。
看護婦も、別棟のリハビリ系の担当に配置換えされていた。
世間でいうこれが「ざまぁ」ってやつですね。
でもね、爺やさん、
怒鳴るならせめて病院の外でやりましょうね。
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