回復の泉

ロールプレイングゲームで、たまにダンジョンの中に『回復の泉』というのがある。
その回復の泉に入れば、それまでのモンスターとの闘いで負傷した傷が治ってHP全回復するという、便利な泉。

ニュアンス的に、ほぼ銭湯。
でも、疲れや傷も回復するので銭湯よりも役に立つ。

回復の泉、うちの近所にも欲しい。

そしたら、激疲れした日も一回そこに寄って回復できる。
もしくは、朝起きた時に、
「あれ?風邪かな?」
と思ったら、回復の泉に寄って治してから仕事にいける。

徹夜明けでも泉に寄れば朝からシャキッとできる。

オール明けの若いOLさんとかは、回復の泉の水を朝、タンブラーに入れて一日中それをちびちび飲みながら仕事したりとかして。
僕も、ペットボトルに回復の泉の水持って帰って、家で足湯とかしたい。

ただ、回復の泉があったら、すごい混みそう。
昼休憩の時とか、肉体労働のいかついガテン系のおじさんで埋まってそうだし、朝はおじいちゃんおばあちゃんで埋まってそう。

夜は夜で全然疲れてないくせに若い男女が回復の泉近くで地べたに座って酒盛りしてそうだし、深夜は酔っ払いが泉にゲロ吐いてそう。

そう考えたら、あまり近寄りたくないかも。

そんで、酔っ払いは泉にゲロ吐くなよ。

次の日の朝、何も知らずにOLさんがその水をタンブラーに入れてちびちび飲むのに。

近所のおじいちゃんとか、泉に勝手に鯉とか放ちそうでもある。

回復の泉の水で育った鯉は、確実に異常な成長を遂げてめちゃくちゃ巨大化して、町のシンボルに。

巨大鯉の町として、観光客で賑わい、巨大鯉まんじゅう、巨大鯉パズル、巨大鯉顔はめパネルなどが町に並び、回復の泉はいよいよ人でごった返す。

そうなったらもう気軽に立ち寄れなさそう。
多分、泉見るのに一回2000円くらい取られる。
そうなると、
「回復の泉に寄ってフラッと回復〜♩」
みたいなことはできない。

結局、回復の泉があっても、そんなに自分の得にはならなそうだな。

#エッセイ #コラム #随筆 #回復の泉

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