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遠くの見え方にこだわりすぎた「近視過矯正」にはご用心

「近視過矯正」一般にはあまり馴染みのない言葉ですよね。近視の人が眼鏡やコンタクトレンズを作る時、必要以上に近視の度数が入った状態で作ってしまうことです。

作った時は遠くがくっきりハッキリ見えて満足するのですが、あとで問題になることがあります。

近視の方が初めて訪れた眼科や眼鏡店に、今まで使っていた眼鏡やコンタクトレンズを持参せずに作りに行くと、「近視過矯正」になることがあります。またパソコン作業やスマホを長く見た後に目が疲れた状態で、作りに行くと近視の度数を上げないと視力が出にくいため、なりやすいですね。

この状態でスマホなど近くを見るためにはたくさん調節力を使います。そうすると、目の疲労から、肩こりや頭痛が出たり、夕方になると体がだるくなったりします。また40代以上の老眼世代の人は、実際の年齢以上に近くに対する見えにくさを感じるようになるんです。

さらにその度数のメガネやコンタクトレンズで日常使っていると近くを見るために、より強い調節力が必要になります。長時間調節力を使っていると、遠くを見る時にもその調節力が残ってしまい、見えにくいと感じてしまう。そうすると近視の度数をまた上げないと遠くが見えなくなる。これが近視過矯正の負のループです。

目の疲れがひどいとか、頭痛がひどいというようなことで眼科を受診する患者さんのなかには一定数このような状態になっている方がいます。眼鏡の度数を変えて3ヶ月ぐらいでこのような症状が出ることが多いです。

またこの「近視過矯正」の状態で1ヶ月以上使い続けてしまうと、その見え方に慣れてしまいます。「近視過矯正」だと分かっても、もとの状態に戻した時に遠くの見え方に不満や不安を感じやすくなります。そのため時間をかけて少しずつ近視の度数を落とすことが必要になるという、なかなか厄介なものです。

近視の方はメガネ屋さんでメガネを作るときに1番くっきり見える度数からちょっと度数を落とした状態で作られることを経験したことはないですか?せっかく新しくメガネを作るんだから、1番よく見える状態で作って欲しいと感じたことはないでしょうか。
でもその一番よく見える状態は「近視過矯正」になっていることが多いので、ちょっと近視の度数を落としているんです。

ただ「近視過矯正」の見え方がすべて悪いという訳ではありません。やや過矯正の度数を選択した方が遠くがはっきり見えます。例えば球技などのスポーツをするときや運転の時にだけ過矯正のメガネやコンタクトレンズを使うのはいいと思います。特に近くを見ることが多い仕事についていると、一日仕事をした目は疲れており遠くの見え方が少し悪くなっていますので。仕事の後に夜、球技をする時は少しだけ強めの度数にした方がボールが良く見えます。

仕事や趣味のシーンによって眼鏡やコンタクトレンズの度数を使い分けるのは、老眼世代の人が若いころと同じような情熱で仕事や趣味に取り組むための秘訣なのです。


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