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雇用保険の再就職手当とは?シンデレラの再就職


失業手当ってなんだ?

令和のシンデレラは、義姉や継母から、舞踏会で王子に振り向かれなかった腹いせに壮絶なパワハラを受けて、懐に忍ばせていた退職願をたたきつけて家を飛び出したばかり。

シンデレラ「いや、マジでババアども、なんなん。コンプラ違反やばすぎ、他の使用人も苦労してたし、労基署に垂れ込んでおこう。」

ガラスの靴をお城に忘れてきた事だけが気がかりではあったが、王子への恋心だけで生きていけるほど、この世界は甘くない。

「友達の白雪姫は、起業して小人の人材斡旋業で成功してたなぁ。小人シルバー人材の活用って目の付け所、すごいよな。あたいはそんな商才ないし、どっかでまた雇ってもらわな。」

ちなみに、シンデレラの属性は下記の通り。

  1. 65歳未満

  2. 自己都合で退職

  3. 勤続10年未満

  4. 障がい者手帳保持もしくはリストラ対象者などの、就職困難者ではない

現実社会では、20〜30代の離職者の方に多く当てはまるケースだと思われる。

さて、俗に言う「失業手当」、正確には雇用保険から出る「求職者給付」だが、シンデレラがハローワークの窓口で申請すると貰えるのは下記のとおり。

1日の基本手当(上限6,290円)×90日分

どんなに高給取りでもマックスが決まってる。シンデレラはご想像どおり薄給だったので、実際は日額が上限にいくことはない。

再就職手当ってなんだ?

シンデレラは満喫で時間を潰しながらぼやいた。

シンデレラ「…継母のやつ、意地悪だから退職関係の手続き書類とか遅いんだよな。たぶんハローワークに手続き行かないといけないっぽいけど、離職票まだ届かないし、まだ、いかなくて良いかな。」

その時、満喫のパソコン画面に閃光がきらめき、舞踏会に連れて行ってくれた、あの時の親切な妖精が現れました。

妖精「こんにちは、仕事!じゃなかった、シンデレラ!」

シンデレラ「…? こんにちは。あの時はありがとう。」

妖精「いえいえ。…てか、シンデレラ、お家出ちゃったの?ちょっと困るなぁ…。きたるXデーには、あなたはあの家の屋根裏部屋に閉じ込められていてくれないとさ。」

シンデレラ「え、なにキモ。もう無視して良いですか?」

妖精「やだ!ごめんね、今のは忘れてね!
仕切り直して…ゴホン。
私はあなたを助けたい。
わたしは流離いのハロワ妖精。
これからも仲良くしてね。
…さて、晴れて無職のシンデレラ、これから、どうするの?」

シンデレラ「(なんかムカつく妖精だな)…。んー、まだハローワークには行ってないけど、申請したら求職者給付でるし、就活は急がないで良いかなと。貰わないで就職するの損じゃんね?」

妖精「え、ちょっと待って!頑張って早く就職した人が損しないように、ちゃんと再就職手当っていう手当があって、本来貰えた分の手当がもらえる仕組みあるよ!」

シンデレラ「え、そうなん。なら人生の時間無駄にすんの勿体無いしガチで就活するわ!ヤッフー!」

妖精「だから待って!それを貰うための条件が存在するんだ。あと補足するけど、90日間で貰ってない残り日数全部とは思わないでね。内定した時期によって割引かれるので、残日数100%出るわけじゃない。」

シンデレラ「条件…?ハロワ妖精さん、詳しく!」

妖精「今からちゃんと説明するね…

再就職手当の支給される日数は
◆給付制限1ヶ月目で内定出たケース
(支給残日数が2/3以上)
残日数×70%×基本手当日額

◆給付制限2ヶ月目で内定出たケース
(支給残日数が1/3以上)
残日数×60%×基本手当日額

まず認識してほしいのは、給付算定に使う基準日は退職した日じゃなくて、あくまでハローワークに来所した日なんだ。
雇用保険の離職票が継母から届いたら〜なんて悠長な事してたら、どんどん支給日が遅れるよ!

いつ次の仕事が決まっても良いように、まずは受給資格認定日(ハローワーク来所日)を最短で記録しておくのが確実だ。待機7日過ぎてエージェント経由で内定出たら受給資格は満たすからだ。
後で説明するけど、離職後1ヶ月内で再就職を目指すならエージェント使うのが鉄則。
オンライン自主応募だと、「コネでそもそも次の就職先が決まってたのに敢えて離職期間を作って手当受給しようとする輩」かどうか、役所は判断つかないのさ。
だから、他者にも開かれた求人であることを担保したいので1ヶ月目は紹介限定にしてるんだ。

なら、めちゃくちゃ離職票大事やんと思うでしょ?でも継母は君の生活なんてどうでも良いから、君が言わない限り動かないよ。
雇用保険の手続きは確かに時間かかるから、まずはすぐに出せる「退職証明書」をちゃんと継母から退職翌日には貰っておいて。
万全を期すなら退職翌日にはそれを持ってハローワークに来所してほしい。
雇用保険の離職票がなくても、仮受付ができるし記録は残るから、まずはハローワークに直ぐに来て欲しい。

【ハロワ妖精 再就職手当のここがポイント!】

  1. 退職日翌日にハローワークで失業認定の仮申込(退職証明で可能)をすること!

  2. 待機期間7日を経て失業認定後、給付まで2ヶ月間の給付制限期間。

  3. 1ヶ月目の給付制限期間中は、職業【紹介】経由の就職内定であれば給付資格に該当。※ハローワークの紹介もしくはエージェントによる紹介で仕事が決まること。→ナビサイトとかで自主応募は対象外ダゾ!

  4. 2ヶ月目は自主オンライン応募など自由な就活も含めてOK。

その他、①支給残日数が1/3以上あること、②次の仕事が1年以上の雇用が認められること
など、詳細の条件はこちら


※ちなみに、障がい者や大規模リストラ対象者などの就職困難者は、再就職先がすぐにできて上記の受給資格を満たさなくても、【常用就職支度手当】という別名で再就職支援手当が支給される。」

再就職した先の手当

シンデレラ「なんか難しいけど、要は前職の会社の離職票が届くのを待ってたりして、ハローワークの手続きをずっとしないで(失業認定されないうちに)、手当給付に該当する就職形態とか時期とかもなんも考えず、自力で就活しちゃうと、本当は貰えた再就職手当、貰えないってこと?」

妖精「ご名答!求職者給付手続きをしてから就活して、内定がでた場合にでる手当だから、前段の求職者給付手続きしてないのは、まず論外。」

シンデレラ「え、私、論外?」

妖精「そう、論外!」

シンデレラ「え、つらい。」

妖精「あ、ちなみに、『ゆーてマックス63日の求職者給付なら諦めても良いか』なんて、甘いこと言ってる情報弱者は骨の髄まで吸い取られるよ。」

シンデレラ「まだなにかあんの?」

妖精「大有り。次に就く仕事が前職から給与ダウンとなった場合、差額が一定額補償給付される【就業促進定着手当】ってのがあるんだけどね。それはそもそも、再就職手当を受給した人にしか受給資格がないんだ。」

シンデレラ「ほえっ!?」

妖精「つまり、ボーッとしてたら失業手当(早く就職した人は再就職手当)どころか、次の就業期間中に支給されるはずだった手当もぜーんぶ、取り逃がすってこと。」

シンデレラ「なっ、えっ、ちょっ!継母に電凸して退職証明貰ってハローワーク行ってくるー!うぉおー!!」

鬼の形相で駆け出すシンデレラ。
その横をガラスの靴を持った従者一行が、しずしずと通り過ぎた。

妖精「…えっ、ちょっ、まっ!待った!シンデレラ!とまってぇーー!」

令和のシンデレラは、妖精の静止も虚しく、そのたくましい足で疾走し、ハローワークに駆け込むのであった。

後書き

令和のシンデレラ。転職が当たり前になった今の時代、あなたにも私にも関係するだろう雇用保険の手当を童話ベースで作ってみました。
もちろん、詳しいことは、ハロワ妖精でもなく、noteでもなく、あなたの町の管轄ハローワークで。

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