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JOL2022-2 タワラ語 解説

日本言語学オリンピック2022
第2問.タワラ語
ジャンル:韻律
難易度:☆2
問題・解答は 過去問・資料まとめ より引用。

JOL2022-2

規則性の発見

動詞を反復すると文法的機能が付加されるというのは、 結構な言語でありそう。 例えば中国語では動詞を反復すると「ちょっと~してみる」というような意味になる (我看看你的手机:あなたのスマホをちょっと見てみる、とか)。

しかし、 このタワラ語は純粋な反復ではなく、 重複のさせ方に規則があるらしい(規則がなかったら問題にできない)。 それを発見する問題だが、 厄介なのはダミーが1個あること。 それを看破しなければならない。

さて、 問題文をぼーっと眺めても何も見えてきそうにないので、 とりあえず音節に分けてみる。

こんな感じか。 あんまりこれでもよく分からないが、 シンプルに前の2音節を反復するパターン1とそうでないパターン2に分けられるっぽい?

パターン1を引っこ抜いてきたが、 これだけ見ても何もわからない。 もしかしたらパターン1がどの規則にも当てはまらない余りもので、 他の語に規則性があるのかもしれないので、 パターン2について見てみる。

パターン1には無かった(1音節目の)二重母音が目立つか。 二重母音を含む語だけ取り出す。

c, h, j は二重母音の2個目の母音を用いて反復している一方、 k は二重母音の1個目の母音を用いて反復している。 かなり不可解だが、 k をダミーの選択肢だとすると説明がつくので、 いったん保留。

パターン2から二重母音を除いたやつを再度見る。

f, l がペアなのは明白。 1音節目と2音節目がダブっている際に、 1音節目の母音を長母音化させるようだ。

また、 b, d についても、 母音始まりの語は、 1音節目の母音と2音節目の子音を反復させているということで説明がつく (スラッシュのせいでかなり分かりにくくなっているが)。 実は母音始まりの語はもう一つあった。 単純反復のパターン1として除外した a だ。 これも同じルールで説明がつく。

規則の検討・適用

多分これで規則の把握ができたはず。 複数の規則にあてはまる語が存在していないことを確認し、 うまく説明できているかを検討する。

  • 母音始まり

  • 子音始まり → 1音節目が二重母音(ただしkがダミー?)

  • 子音始まり → 余りもの

k をダミーだとすれば問題なく説明できているだろう。 (イ)はこの規則を実際に適用させるだけ。

総評

平均点14.86、 標準偏差4.56。 平均点が高く標準偏差が意外と小さいが、 規則の全容が分からなくてもそれっぽく反復させてるだけでカスりはするからか?

選抜枠銅賞なら第1問と第2問で30点、 オープン枠銅賞・選抜枠銀賞なら35点は欲しいか。 それ以上を狙うならこの2問では1点たりとも落とせない。

パッと見では何の規則性も見えてこないが、 それでも丁寧にパターンごとにまとめてやれば、 何とか食らいつけるはず。

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